株式会社ミツモリ様との産学連携スタート

夢工房に続きスタートした、ミツモリ様との用途開発プロジェクト。
プロダクトデザインコースでは、より実践的な「ものづくり」を通して社会との繋がりや責任を学んで欲しいと、産学官連携課題に力を入れています。

今回、御協力頂くのは、株式会社ミツモリ様。
「ストーンペーパー」という、石灰石と樹脂を混ぜた紙状の素材の用途開発です。
耐水性に優れ、湿度に対する寸法安定性、耐カビ性の高さ、紙に対して燃えにくい性質や、製造工程上環境に優しい特徴など、様々なメリットを持つこの素材。
今回は、2年生・3年生の合同クラスで、この素材の新たな用途を考察します。

第1回目の授業では、ストーンペーパーの性質、特徴についてのレクチャーを頂き、グループでブレスト。 7月22日の最終プレゼンテーションに向け、各自がユニークなアイデアを競います。

これに先立ち、5月のオープンキャンパスでは、プレ提案としてストーンペーパーを使用した「伊勢型紙のステンシルワークショップ」を展開しました。
名古屋造形大学は、2万点を超える伊勢型紙の原紙コレクションを持っています。
伝統的な手法として型紙に使われているのは「渋紙」と呼ばれる素材で、これは3枚の和紙に柿渋を含浸させ貼り合わせて作られます。
しかしながら、現在は需要の減少により生産工場も減り、また延べ40日も掛かる製造工程の長さや手間の多さから、今では鈴鹿市の白子地区で数社が製造しているばかりです。

今回は、耐水性が高く、寸法安定性が高い「ストーンペーパー・ストーンボード」を株式会社ミツモリ様の御厚意で提供して頂き、スキャンした型紙のパターンをレーザー加工してみました。

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学生達は、自分の気に入ったパターンの型紙を選び、ステンシルの技法でスケッチブックの表紙にパターンを転写。 世界にただひとつのオリジナルスケッチブック作りにチャレンジです。

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水で丸洗いも可能な扱いやすさ、加工のしやすさ、繰り返し使用しても波打たない安定性を備え、学生ばかりでなく、オープンキャンパスに同伴された御父兄も楽しめる人気のワークショップになりました。

 

連携課題については、成果についてもレポートしていきますので御期待下さい。

PD 金澤

3Dプリンター奮闘記

新年度を迎え、santecさんとの産学連携も後半戦に入ります。

前回の卒業制作展でも大活躍した「ZEUS」ですが、今回紹介するのは、少し変わった使い方かも知れません。 学生は透明のドーム型を必要とするモデルに取り組んでいます。 東急ハンズなどに行けば、既成のアクリルのボール(器)型パーツを買うことができますので、これをカットしても良いのですが、イメージにピッタリのサイズ・カーブの部品って、なかなか無いんですよね…。 学校には真空成形機がありますので、これで作ってみることにしたのですが、やはりピッタリのサイズ・曲率の母型が無い…今回は「ZEUS」を使って、この母型作りにチャレンジします。

形状はいたってシンプルな凸レンズ形状。 希望のサイズは「ZEUS」の出力範囲を超えていましたので、止む無く2ピースに分けて合体することにします。 前回までの教訓を忘れずに、凸型の頂点を出力する際、冷めない内に重ねて出力することで形状が崩れてしまうのを避ける為に、同じ高さのダミー棒を生やしておきます。

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データは、いつものShade で作成

形状がシンプルなだけに、失敗も無く出力完了。

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問題無く出力完了

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等高線の凹凸を真空成形が拾ってしまいます

2つのピースを合わせてみても、まあまあの精度で凸レンズ形状になりそうです。

繋いで磨いて母型を完成しましたが、真空成形では思いの外、表面の凹凸を敏感に拾うことが判明。 表面の磨きに相当の時間を掛けないといけないことが分かりました。 「ZEUS」はポリ乳酸系の樹脂を出力していますが、結構なサンディングにも耐え、形状をしっかり出すことも出来ることも分かりましたので、母型以外にも磨いてフィニッシュする作品でも活躍しそうです。

PD 金澤