4月19日 晴れ
今日は、プロダクトデザインコースの1年生~3年生のみんなと「インテックス大阪」で開催されていた「バリアフリー展2014」を見学調査してきました。
総務省の統計によると、現在、日本人の25%が 65歳以上で過去最高。 社会保障人口問題研究所の推計によると、2035年には、3人に1人が65歳以上になるそうです。
日本でバリアフリーの取り組みが始まったのは1970年代中頃。 調べてみると、1974年に国連が障害者生活環境専門家会議報告書「Barrier Free Design」を発表したことをきっかけに世界に広まったとされていますので、ほぼ同時進行でスタートした様ですね。
その後、1981年が「国際障害者年」と決められて以来、関心が高まり、各国で様々な法整備が始まった様です。 日本でも高齢化社会の予兆を背景に、身体能力が衰える高齢者や障害を持つ人達が物理的・精神的に暮らしやすい社会の実現に向けて注目され始めました。
この分野でデザインが果たせる役割はとても大きく、「ハンディーキャップを持った人達が使いやすいプロダクトは健常者にとっても使いやすく便利なはず」という概念から、「一般化」や「普遍性」を意味する「ノーマライゼーション」や「ユニバーサルデザイン」と言う言葉と一緒に広まりました。
中でも「ユニバーサルデザイン」は「できるだけ多くの人が利用可能であるデザインにする」ことが基本概念で、対象を障害者に限定していない点がポイントだと思います。
生活環境内の段差を無くしたりスロープをつける…といった点はお馴染みですが、今回のバリアフリー展では、要介護者の入浴やトイレのサポート、移動支援はもちろん、意思表示や文章表現をサポートするデジタルコミュニケーション手段、リハビリ支援、摺り足でも歩きやすい靴や栄養価を考えた流動食、筋力の衰えをサポートする着衣など、衣食住全ての分野、人間の五感全てをカバーする様な広がり方をしていて驚きがいっぱいでした!
最終日だったこともあり、凄い来場者数。 車椅子利用者を始め、深刻な問題に直面している方々も多く、皆さん真剣な表情で説明員と話す姿には、明日の日本の重大な問題を目の当たりにした思いです。
まだまだ「美しさ」よりも「機能」が優先される世界に見えましたが、一部では「特別な道具・装置」に見えない様にカラリングの工夫が施されていたり、パワースライドドアにはコンパクトなリニアモーターが使用されるなど、心理的な配慮や最新の技術が採用されている点にも、まだまだデザイナーの腕の見せ所はありそうです!
学生の皆さんの目には、どんな風に映ったでしょうか?
最後に、ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンターによる、7つの原則を引用します。
これからのプロダクトデザインを考える上でとても大切な切り口ですね!
1.どんな人でも公平に使える(公平な利用)
Equitable use
2.使う上での柔軟性がある(利用における柔軟性)
Flexibility in use
3.使い方が簡単である(単純で直感的な利用)
Simple and intuitive
4.必要な情報がすぐに分かる(認知出来る情報)
Perceptible information
5.うっかりミスを許容できる(失敗に対する寛大さ)
Tolerance for error
6.身体への過度な負担を必要としない(少ない身体的な努力)
Low physical effort
7.アクセスや利用のための十分な大きさ・空間が確保されている(接近や利用のためのサイズと空間)
Size and space for approach and use
以上