火曜日の午前11時前。
100名余りの学生が大講堂wのC305に集まってくる。
先週の授業レポートと今週の配付資料を受け取って席に着き、ザワザワが始業のチャイムまでウォーミングアップの様に続きます。

何を書いても良いコーナーである、Drill5:コミュニケーションエリアでは、
「先生、教室が暑いです(汗)」
「パクリ動画をもっと見たいです」
「お腹がグーグーなって困ります・・・」
「センセー、落書きなんて描いてる時間が無いですょ〜(´Д`)」
などというのも少なくない。
まぁ、これもコミュニケーションのうちか(^^;)と苦笑いしながら、赤ボールペンでコメントを返していますが、今回はこんなのがあった。。。
「写真を撮る人の表現の自由と著作権、撮られる人の肖像権、どっちが強いんですか?」
むむむ、なかなかシビアな質問だ。
そもそも、肖像権は法律で明文化されていないものだし、公共の場で不特定多数の人を撮影する場合は認められないもの。(だと思うw)
肖像権は知的財産権では無いけど、すこし寄り道するか・・・
ということで、今回は、学生の疑問に答える形で、肖像権の事をすこし説明しました。

「肖像権は、大きく分けて2つの側面がありまして・・・・」
「勝手に自分の姿を撮られたり利用されたくない!という人格権としてプライバシーを守る側面と、特に有名な人などは自分の肖像によってビジネスになる場合もあるので財産権の側面もあります。特に商業的に使う権利をパブリシティ権と言います。」
「肖像権はね、写真だけじゃないんです。似顔絵やパロディでも、誰が見てもその人だと特定される場合は、その人の肖像としてみなされます・・・・ナンヤラカンヤラ」
ついでなので、「サザエさんバス事件」を紹介しました。

もう38年も前の判例ですが、ある観光バスの車体に手描きでサザエ、カツオ、ワカメの3人を何とか真似て手描きしたものです。
どう見ても、ヘタッピな絵です。原画とはかけ離れたお絵かきですが、誰が見てもサザエさんと分かるし、ご丁寧に、「サザエさん」と文字まで描いてしまってます。
さすがにこれには、作者の長谷川町子さんも怒って(実際に怒ったかは知りませんw)訴訟して、結局は、このバス会社が負けて1800万円以上の損害賠償金を払ったというお話し。
要は、何も連絡せずに、承諾も取らずに、勝手にやるからこういうことになるということを知っておきましょう。
さて、
バスにサザエさんの絵が描いてあれば、子供は、あのバスに乗る!と言いますよね?
人気のあるキャラクターを何かの商品の販売に使えば売れることは分かります。それを商品化権とも言われていますが、パブリシティ権というのもこんなようなものです。・・・なんという曖昧な説明(^^;)
ただし、パブリシティ権は、「人格」を守るものなので、どんなに有名でも動物にはパブリシティ権はありません。
それにしても、サザエさんは昭和21年から始まった超ロングランマンガ。
68年の間、カツオは小学校を卒業できていない。歳を取らずに時代の波を乗り越えるフグ田一家は宇宙人という事にしましょう。
こんな感じだったので、今週の授業は全然前に進まなかった。。。
プロダクトデザイン
下尾