卒展2017 一気に御紹介しまーす!

今年もこの時期がやってきました。

創立50周年を迎えた今年度、初めて学内での開催となった第25回卒業制作展では、9名の4年生がプロダクトデザインコースから巣立ちます。

看板

会場全体

美術館に比べ、ひとり当たりの面積もゆったり取ることができ、美術館では展示出来ない、水物や生もの、音を出したり物販をしたり…各コースともに趣向を凝らした展示が面白い卒展となりました。地の利が悪いことと毎回アトリエを片付ける労力を思うと、学生が可哀想な側面や大変さはありますが、学内での卒展自体は悪く無いと感じます。 取り分けプロダクトデザインのフィールドは美術館の隔離された権威や風格は必要とせず、生活の延長線上にあると感じて貰える方が良いかも知れませんね。

例年通り、今年も学籍番号順に一気に御紹介します。

 

【ゆるふわタウン】加藤愛理

加藤3

桃美会賞、JIDA優秀賞おめでとう。

ネット上の仮想空間に広がる街「ゆるふわタウン」。 動物をモチーフにした、そこに住む住人達は色々な個性を持ち様々な仕事をしている。アバターとして入り込んだユーザーが体験する新しい「商空間」の提案。

スポンサーになる企業がこの架空の街に出店し、アバターであるユーザーが買い物や住人達とのコミュニケーション、或いは、同じ様にこの街を訪れた他のアバター(ユーザー)と情報交換などをすることができ、「ゆるふわタウン」で手に入れたポイントなどが、現実の店舗でも使えるサービスを提供する仕組み。

1990年、富士通がハビタットという、チャットを中心とした仮想現実空間を提案したことがあったが、eコマースをよりリアルな体験型テーマパークの様にすることで、別の人格を楽しんだり、新たな出会いを含めたネットワークの構築に活用するという、SNS+EC+RPG を提案しようとしている。

彼女は「ゆるふわタウン」の住人達であるキャラクターのLINEスタンプを実際に販売し、人気の動向を確認したり、キャラクター設定の精度を上げたり…と結構、ロジカルな検証を交えながら、それぞれの愛くるしいキャラクターを立体化した。

加藤1

彼女は1年生の時から一貫してこういったキャラクターデザインに関心を持ち、卒制では加藤ワールド全開の楽しい作品となった。「モノからコト」と言われて久しく、商品がサービスやコンテンツに変わっていく時代、必ずしも物品に帰結することなく自由に企画を考え自分の好きな世界をどうビジネスに乗せていくか…という視点は益々必要になる。 彼女の作品は一見とてもファンシーだが、彼女なりのビジネスとしての視点を掘り下げ、映像やノベリティー、キャラクターグッズなどにも可能性を求め、アートとデザインを橋渡しする自由な「モノ」「コト」の表現にチャレンジできたと思う。 従来のプロダクトの概念に縛られることなく、自由に企画を展開したアイデアとイメージを広げた点を高く評価したい。

 

【neiro】関谷祥子

関谷1

JIDA最優秀賞、コース内優秀賞おめでとう。

桃美会賞は逃したが、私の中では、この関谷と上述の加藤で迷った。 色を音に変える装置…という、新しい視点をどう商品に展開していくのか…早くからテーマは決まったが、その表現には紆余曲折があった。

スマホの登場で、今や誰もが旅行先や日常で手軽に写真を撮り、それをSNSなどで簡単に拡散することができる時代になった。彼女の提案は、専用のカメラで撮影した写真画像の色の要素を抽出し、帯状の色短冊を出力。この色帯を専用のプレイヤーに装着すると、独自のアルゴリズムで音に変換するというもので、景色の画像だけではなく、その体験に音楽を添えて想い出をステキに演出しようというもの。

展示を御覧になった日本画の濱田先生から「自分の作品(絵画)の音を聴いてみたい」とコメント頂き、「音を意識した絵づくり」という発想で景色やモノを見る習慣などが芽生えて来るかも知れないと感じた。「インスタ映え」という言葉が流行語の年間大賞になったが、私達は日常生活の一部を切り取る作業に、人に見せる前提で「映えるか?」という視点を高く意識する様になったと思う。表現の手段が変われば意識が変わり、新たな発見や見過ごしていたディテールがクロースアップされ、人の所作や視点が変わっていくのはデザインの仕事をする醍醐味のひとつだ。

留学先のバウハウス大学で出会ったアルディーノをベースに、今までのプロダクトデザインコースのアウトプットからは「ひと味」違うアプローチを見せてくれたことを評価したい。 IOTの先駆けの様にスマートスピーカーなど、身近な生活を彩る機器が登場しているが、この作品もそういった新しいライフスタイルや意識の変化を敏感に感じながら、程良い未来感とリアリティーで提案している点が良かったと思う。 バウハウス大学では「立体で『もの』を考える習慣」を身に付けた彼女は、沢山のスケッチに負けないくらい沢山のモデルの残骸を生み出したが、アイデアを直ぐにカタチにして検証するプロセスもとても良かった。

データー・ラムスのデザインにインスパイアされた彼女の嗜好は、スマートスピーカーなどに代表される昨今のIOT商品の中でも見劣りしない、美しいリアリティーと上手くマッチした。

関谷2

 

【モノとしての本】田中優帆

デジタルタブレットで本を読む時代。 まだまだページをめくる感覚が好きだったり、読了まで後どれくらい掛かるのかが分かる物理的な「本」が好きという方も多いだろう。 しかしながら、マンガと雑誌を除いた本を1ヶ月に読む冊数が「ゼロ」という人が33%と3人にひとりの割合に上ることが日本世論調査会が実施した調査で分かったそうだ。「若者の車離れ」と並んで「本離れ」の深刻さを裏付けた結果だ。原因を「スマートフォンやゲームに費やす時間が増えた」とする回答が73%を占め、読書時間がスマホなどに奪われているという。確かにインターネットで得られる情報で間に合い、一過性で旬を過ぎれば捨てていく雑誌などは、捨てる手間もいらないデジタルに置き換わっていくであろうし、重たい書籍の形態からはどんどん自由になっていくに違いない。  一方で、読書が自分にとって必要かを問うと「必要だ」(61%)「どちらかと言えば必要だ」(30%)の合計は91%になるという。

前置きが長くなったが、彼女の作品は改めて「モノとしての本」の価値を再定義したいというもの。色々なアイデアの中から今回は3つのアイデアをピックアップしモデル化した。大雑把に言うと「インタラクティブに本を楽しむ仕掛け」(各ページに「赤」を塗ることを誘発する本)、「寝る前の読書の心地よさを体験するカタチ」(畳むと枕に包まれる様な装丁を持った本)、「本に見えない立体物を形作るスタイル」(パフェのガラスコップのシルエットに収まるカード積層型の本)といった作品が展開された。

田中1

グラフィックの守備範囲とも言える書籍をプロダクトデザイナーの視点で見た時にどんな発展性が生まれるか…という切り口は興味深い。 単なる装丁に留まらず「本の自由なカタチ」に想いを馳せた点は良かったが、ターゲットやコスト、製法、流通など、デザインワークに必要な「製品」としての位置付けや、「商品」としての責任の取り方にまで準備が及ぶと更に良かった。

田中2

また「物理的な本の存在意義」「立体的な装丁」「ロマンチックな世界」という3つのキーワードが提示されたが、今回セレクトした3つのテーマに、もう一歩踏み込んだ関連性やシリーズとしてのテーマなど、ひとつの世界観を感じさせるアイデアがあっても良かった。

沢山の学外ネットワークを持つ彼女は、フリーペーパーの編集や、その流通などにも意欲的な活動をしており、グラフィックデザインの仕事にも強い関心を持っている。 展示もシンプルな垂れ幕式のバナーを吊り下げ、とかく平面的な展示になりがちなテーマを空間として見せるなど、センスの良さを感じさせてくれた。

 

【hide & seek】富田沙彩

コース内優秀賞おめでとう。

例年、数名が「ガッツリ木工」作業に取り組む。 彼女は、自分の趣味でもある手芸の作業場を発想の起点に、自由にアレンジ出来る収納棚を備えたローテーブルをテーマにした。 ユニット式の数種類のボックスを組み替えてアレンジするアイデアは、決して新しい物では無いが、タイトルにもある様に「見せる収納/隠す収納」という視点を加え、また、色々な趣味(彼女の場合は手芸)に特化したパーツを組み入れることでビジュアル的な新しさを見せる点を意識した。「hide」の部分では、ゴム紐を面を感じさせる程度に狭いピッチで張り、物を出し入れできる…さり気なく中に何が入っているかが分かる、パーシャルなものの見せ方としているのは、従来のオン/オフの「見せる収納/隠す収納」とは、ひと味違う…圧迫感の無い量感を感じさせることに成功している。ゴム紐にカードをピンナップするアレンジなども女性らしい楽しいアイデアだ。

富田

木工作業は、シンプルな形状ではあるが、丁寧な工作作業を経て、寸法精度も良好な出来だ。 オイルステインでシックにまとまった表面処理は、決して外連味は無いが、嫌味のないシンプルで美しい仕上がりになった。 デザイナーにとって仕上がりのクオリティーに拘ることは大切で、見る者を安心させるその完成度は評価に値する。 前に座ってみると…座卓の高さなので、正座や胡座の姿勢で丁度良い作業場となるが、立ったり座ったりが容易な椅子の世界とは異なり、もしかしたら趣味の世界に集中・没頭しやすい体勢なのかも知れない…とローテーブルを再認識した。 落ち着いた色調のお陰で、居心地の良さを感じさせてくれるこの作品は…1坪くらいの狭いスペースに入れ、時に背を壁に凭れさせながら、趣味の時間(私の場合はミニカー作り)を楽しみたくなる出来栄えだ。

 

【素材による和の表現】長田果穂

コース内優秀賞おめでとう。

いつも穏やかなキャラクターの彼女は、デザイナーには少し優しすぎる個性だと感じてきた。 争うことを好まず、1年生の時から、いつもひとりアトリエに残りコツコツと真摯に課題に取り組む姿が印象的だった。 プライバシーにも触れるので詳細は割愛するが、大学に入学してから幾つかの辛い出来事を乗り越え、決して派手では無いが直向きに作業を進めてきた。

作品の評価ではなく、人物の説明は本来このレビューの趣旨ではないが、彼女の持つ優しい個性が、この作品にとてもよく反映されていると感じる。 テーマは「モノ」が使われていない時の存在の姿…とでも言うべき切り口で、トレイとコースターといった日常の道具が非使用時に壁に設けられたジグザグ型のホルダーに収納され、間接照明として機能するという作品。 使用しない「モノ」を単に不要なものと位置付けることなく、小奇麗に片付けたり飾ったりすることに主眼を置いた「見せる収納」とも異なり、照明という別の機能のモノに変えてしまう…というところがポイントのひとつ。

長田

一方で彼女は「和」の表現に関心があり、当初から和紙や竹といった素材からのアプローチを積み重ねてきた。最終的には竹では無いが木目を表面に出した質感でシンプルな形状と合わせ、和室にも洋室にも違和感の無い家具…器具となった。 トレイにも和紙の様なテクスチュアと、日本の四季をテーマにしたUV印刷によるグラフィックが施され、滑り止めの機能だけでは無く、触った感触にも一工夫されている点は、CMF(色・素材・仕上げ)の視点からも合目的である。

山のシルエットに沈む夕日の美しさは、おそらく誰にも経験のある原風景のひとつだと思うが、彼女が表現に選んだモチーフに、どこか優しくホッとする…穏やかな心遣いを感じるのは、やはり作者の個性ではないかと思う。

 

【各スポーツに特化したアイウエアの提案】中根諒太

アップルウォッチが世に出て「ウェアラブル」という言葉も浸透し、他にも腕時計が心拍数や歩数、運動量や睡眠時間を計測し健康状態をビジュアルにする機能などを持ち始めている。 名探偵コナンも眼鏡型追跡装置で数々の事件を解決するが、彼が取り組んだテーマは、そんなアイウエア型の情報端末装置。

今回は特にスポーツを楽しむ人達をターゲットに、どんな機能があるべきかを考察し、未来のスポーツの楽しみ方を提案しようとしている。 彼なりに様々な競技を「対戦競技と自分と闘う競技」「激しい運動量を伴う競技と比較的移動エリアが小さい競技」の座標軸でカテゴライズし、「ジョギング」「ゴルフ」「テニス」「エアーホッケー」の4つの種目を選択。 それぞれの特性に合わせたアイウエアのモデルを検討したが、4つの象限とセレクトされた競技のマッチングには些かしっくり来ない分類分けを感じさせた。

「ジョギング」では、心拍数などの体調管理に加え、個人の記録やペースなどをモニタリングすることで、適切な運動量を示唆し、「ゴルフ」では、風向きや風速、カップまでの距離情報、ライン取り、アンジュレーションを格子柄の歪みで表現した画面などを見ることができる。

また「テニス」では、相手や自分の動きを録画することで、試合後の振り返りやフォームのチェックなどもでき、「エアーホッケー」では、画像情報だけでは無く音もその演出効果に加えることで、それぞれに「運動の管理」「練習の効率化」「技術の向上」「エンターテイメント要素の追加」など表示の目的によって、視覚情報の表現がアレンジされる。

中根

モデルは、データ作成後、3Dプリンターで出力し、細部の仕上げ後、塗装…というプロセスで作られたが、「メガネ」という基本形状(エアホッケーのみはヘッドセット型だが)がある故に、4つのモデルは一見類似している。 上述の狙いや機能の表現に合わせ、外観の特徴を明快に棲み分けることができれば、もっと良かった。 むしろユーザーが装着している時に得られる情報に大きな差と特徴があるのなら、アイウエアの外観意匠だけでは無く、ユーザーが見ているインターフェースのデザインに、もっと時間を割いても良かった。

 

【X】日沖翔一

デザイナーが…「見たことの無いカタチ」…に直面した時に見せる反応は、大きく分けると「なんだこりゃ?」か「やられた!」の2種類ではないかと思う。 更に彼の作品は9割方が前者ではないかと推察する。 前者は見る者の想像を超えており、後者は理解できるが自分には発想できなかった悔しさが混ざる。 更に前者には、良い「なんだこりゃ?」と悪い「なんだこりゃ?」が存在する。 良い〜は、好奇心をくすぐられ、それが何かを知りたくなり、悪い〜は、嘲笑とともに理解したい気持ちも失せていく。

彼の作品は、良い「なんだこりゃ?」だと思う。 その特異なカタチが意味する機構も使い方も目的もサイズも未知でありながら、何故かSF映画に登場するプロップの様な未来感と食虫植物の様なディテールに目が奪われ、これが何かを知りたくてウズウズする。

日沖

彼の解説か説明資料を見ずに、新しい時代のパーソナルモビリティー…という答えに辿り着くには、相当豊かな想像力が必要だが、下から覗き込んで4枚のプロペラを見た瞬間に、ドローン型の移動装置であることに気付き始め、解説パネルを見て、彼の自由な発想に感心することになる。正直、私は個人的にこういう世界が嫌いではない…というか好きである(^^)

浮上するので、水陸両用であり、オールテレインの一種であり、移動手段であり、ホバリング手段でもある。 彼は当初から、釣りなどの趣味の世界で活躍する水陸両用というキーワードを提示しており、最終的にもそんな場面で活躍するビジュアルを示しているが、セグウェイの様に体重移動で方向をコントロールすることも出来るそうで、趣味やスポーツの世界だけでは無く、災害救助や物資輸送など様々な用途が想像出来る。 ドバイではホバーバイクを未来の警察の白バイ代わりに実用化する研究をしているそうで、意外と近い未来にリアリティーのあるプロトタイプが登場するのかも知れない。

モデルは、MDFという木の繊維を固めた板をレーザーカッターで断面毎に切り出し積層するという手法で作成し、左右や上下の対称性をデータで制御することで、難しいカタチを上手くコントロールした。

モデルはハーフサイズで、展示ではスケール感が不明な為、人が使用しているシーンをビジュアルで追加することとしたが、展示台にハーフサイズの人のシルエットを立てるなど、モデルのサイズでスケール感を表現すれば良かった。

 

【EAGLE Fast】楊松

コース内優秀賞おめでとう。

クルマ業界にいた私にとって、やはり思い入れの強い作品。2040年にはヨーロッパの幾つかの国ではディーゼル車やガソリン車の販売が出来なくなり、電気自動車やハイブリッド車が主流となる時代、当然の如くスポーツカーにもエコや環境と共存する風景が求められる。Chevroletの「VOLT」(レンジエクステンダーなので純粋なEVでは無いが)では物足りないスポーティー感も、「テスラ」や BMWの「i8」(これもハイブリッド)では、スポーツを感じるイメージになってきた。 そもそも回転数の上昇と共にトルクが上がるレシプロエンジンと比べ、オン/オフの世界の電気自動車は、いきなりマックストルクを掛けることができる点で実はスポーツカーに向いている。加速の良さも異次元な体感をもたらしてくれる。

楊1

 

楊2

空力について研究するには風洞試験室や特殊な計測機器が必要となる為、なかなか美術系の大学の設備ではハードルが高いが、一般的に空力上有利とされるセオリーを幾つか紹介し出来るだけパッケージングにも出鱈目な嘘の無いレイアウトをベースとした。 EVなので比較的レイアウトに自由度はある前提で、最も正圧が掛かる正面グリルから入る風を床下に流しダウンフォースを稼ぎ、ルーフ後端にはボルテックスジェネレータを設けリアスポイラーに風を当てるストーリー。 側面の風をボディーのセンターラインに近いところを通し後方に流す形状とする為に、乗員の左右のヒップポイントカップルを出来るだけ中央に寄せ、寝姿勢で乗るドライバーの足がフロントホイルハウスの内側に突っ込んでしまえるレイアウトとすることで、サイドビューでキャブフォワードなシルエットとした。 これにより、ボンネットフードとウインドシールドが極力「くの字」に折れない流れを作り、リアスポイラーまでの整流が必要なルーフ後端を長くとると同時に前進感のあるシルエットとなった。

モデルは硬質ウレタンで作成したが、彼は非常に作業が早く正確で、ディテールの始末には多少問題が残ったものの、大きなバランスや面出し、手際良く左右対称にする工程では、とても高いスキルを見せた。 クルマが大好きで、色々なクルマを日頃から見ている成果がきちんと出ていて感心した。

昨年の加藤君の様な箱形のクルマと異なり、自由なカーブをふんだんに交錯させるスポーツカーのモデリングは実に楽しい!(が、難しい) モデリングを進めるプロセスは企業時代に仲間達と微妙なカーブの巧拙を吟味した作業を彷彿させ、ワクワクするものだった。

 

【Corocoro shop】吉積里香

JIDAセントラル画材賞、おめでとう。

彼女は、実にストイックに計画的に作業を進めた学生のひとり。「Corocoro shop」は、フリーマーケッター用の移動式店舗。 美大生の中にはオリジナルのアクセサリーやカードを作り、クリエーターズ・マーケットに出品し販売している学生も多いが、彼女の作品はこういった出店をするクリエーター達に、持ち運びが可能で、組み立てると小洒落た店のファサードが出来上がる店舗什器のアイデア。

ネーミングの由来は、コロコロ引いて移動できるイメージと、棚などのレイアウトをコロコロと変化させることが出来る「様変わり」感を表現している。 画像で御覧頂いている店が…パーツを外して、畳んで、天板になっている箱に仕舞い込むと大型のスーツケースくらいの大きさに片付いてしまう。

彼女自身は、これまでクリエーターズ・マーケットに出店したことは無いそうで、今回の着手に当たって実際の出展者にヒアリングを行い、借りる場所のサイズや現状の問題点の抽出を早い段階からスタートさせた。 10月の芸祭で実際にこの作品のプロトタイプを使った模擬店を出店し、道具としての使い勝手を検証することを開発計画の中に位置付けた。 通常、10月はようやくモデル作成に着手する時期であるが、これを実行する為に計画的に作業を遂行した点は良かった。

最終形状に行き着くまでに9台の構成確認用のスケールモデルを作り、悲鳴をあげながらも、検証、修正を繰り返したプロセスは、地道だがデザイナーにとって極めて大切な道程を経験することができた。

モデルの材質は木の為、当初計画していた目標重量のハードルは高いものとなったが、白く塗装してしまうのであれば、製品では、脚などは樹脂で軽量化を図っても良く、持ち運びの利便性も更に向上しそうだ。

卒展でも、その使い勝手を検証する…という目的で、実際に自分で制作したアクセサリーやカードを作品に並べ、物販を実施。 これが、そこそこ売れるらしく…さぞや使い勝手は検証できたことと思う(^^)

 

さて、如何だったでしょうか?

今年の卒業生は、2014年度入学生で、私が転職し一緒に大学生活をスタートさせた学生達です。 私にしてみれば、1年生の頃からの様子を振り返ることが出来る初めての学年であり、彼らが卒業していくことを思うと一入の感慨もある。

…が、学生達は結構クールな様子だ。 毎年、その学年のカラーや特徴があり、同じ世代でもひと学年違うだけでクラスの雰囲気は異なるが、この学年は…ドライ…というか、卒展の当番枠以外は勿論、桃美会賞(コースから1名選出される優秀作品)が判明する初日にも学生が殆ど揃わない状況を見ていると、関心が無いのか、誰かが知り得れば即座にSNSで情報が手に入るから良いと思うのか…自身の作品にどれくらい執着や思い入れがあるのか、彼らは本当に完全燃焼したのかが、分からなくなる瞬間もある。(勿論、毎日の様に作品に張り付いている学生もいるが…)

…この4年間で、大切な何かをきちんと伝えることが出来なかったのだろうか?

 

PD 金澤

 

卒展プレビュー 第2弾

「音色」…音の大きさやピッチだけでは無く、日本人は「音の質」に彩(いろどり)を感じ、季節感や心情的なニュアンスをその言葉に乗せてきました。

「ねいろ」という言葉の響きにも、私たちは「優しさ」や「懐かしさ」「心地良さ」を届けてくれる特別な情緒を感じているのでは無いでしょうか?

 

今回ご紹介する関谷祥子さんの作品も従来には無い商品の企画です。

彼女が取り組んでいるのは、色を音に変換する装置を使って、体験を新しいスタイルで記録・記憶することで生活に「彩り」を添えようという提案です。
いったい、何処からそんな発想を思いつくのでしょうか?!

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スケッチの山…の、ほんの一部。 負けないくらいのモデルの残骸…の、ほんの一部…

彼女は、本学が実施している交換留学制度を利用し、ドイツのワイマール・バウハウス大学で学んだ経験を持っています。バウハウス大学での課題の中に、電子回路を使用した商品のコンセプトを考えるものがあり、彼女はそこでアルディーノという電子回路キットと出会います。様々なセンサーを組み合わせ、それらを制御するプログラムを書くことで、新しい装置を作り出すことができるというもの。

彼女が取り組んだのは、カラーセンサーを用い、色の周波数を信号に変え、周波数に合わせ異なる音程を発する装置。

今回の提案は、バウハウスで取り組んだテーマを更に発展させ、どういった商品に展開することができるかにチャレンジした成果です。

スマホの登場で、今や誰もが旅行先や日常で手軽に写真を撮り、それをSNSなどで簡単に拡散することができる時代になりました。
彼女の提案は、専用のカメラで撮影した写真画像の色の要素を抽出し、帯状の色短冊を出力。この色帯を専用のプレイヤーに装着すると、独自のアルゴリズムで音に変換するというもので、景色の画像だけではなく、その体験に音楽を添えて想い出をステキに演出しようというものです。

彼女はバウハウスで「もの(立体)で考える」習慣を身に付けてきた様で、早い段階からペーパーモックやNC切削加工を駆使し「アイデアの見える化」を積極的に進めてきました。

アイデアを直ぐに立体化・検証し、素早く改善点を洗い出すことはデザイン作業に於いて、とても大切なプロセスです。 アトリエにも設置している3Dプリンターやレーザー加工機は最終的なモデルを作る為にも使用しますが、効率的にPDCAを回す為にもどんどん活用して欲しいですね。

事実、彼女の作業台には、スタイリングを検討するスケッチやモックアップに加え、自分でハンダ付けした回路とそれを検証するテスター類、実動モデル化するためのLEDランプ回路やモーターなどが所狭しと並んでいます。

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この日の作業では、上部ターンテーブルの回転速度を決める為に、何Ωの抵抗値が適正かを検証していました

本学のメディアデザインコースなら、日常的に回路設計やプログラミングと接しているかも知れませんが、プロダクトデザインコースでは、ちょっとしたチャレンジでもあり、みんな興味津々で彼女の作業を見つめています。

今後はメディアデザインコースとの協働も強化し、こういったIOTの分野にも視野を広げ新しいモノづくりにもチャレンジしていきたいと考えています。

2月に入りモデルの全貌も見え、とても面白い作品になりそうです。 音と色を繋ぐ言葉…「音色」に込めた想い・・「neiro」。それがこの作品のステキな名前です。

2月10日〜18日@名古屋造形大学キャンパスで開催の卒業制作展に是非足をお運び下さい。

 

PD 金澤

 

 

久保ちひろさんが、PVCデザインアワードで3会場展示

プロダクトの分野では色々な素材を扱いますが、授業の課題だけでは、そんな様々な素材を網羅することができません。
また、社会で通用するレベルや自身の実力との差を意識することも大切…との視点から、学外コンペや産学連携プロジェクトも重視しています。
今回、2年生の久保ちひろさんが取り組んだのは、学外コンペの中から自身で選んだ「PVC DESIGN AWARD 2017」というコンペ。 ポリ塩化ビニル…「塩ビ」とか「ビニール」といった方が馴染みがあるでしょうか?
彼女の提案は「ハンガーカバー」!

被せるだけで…クリーニングから返って来る時についている安い針金のハンガーでも可愛くカラフルで楽しいハンガーに早変わりするアイデアです。
当初は、ビニールの持つ粘着性にヒントを得て、ハンガーに掛けた衣服が滑り落ちないグリップ機能を備えたハンガーを考え、その意匠にユニークな形状を模索。

久保
ひとまずはコンペに応募したところ、コンペを主催する日本ビニル工業会の参加企業である「オギ工業」様の目に留まり、発展する形で商品化を目標に共同開発がスタートしました。

頻繁に実企業とのミーティングや試作を繰り返し、滑り止め以外にもタグのアイデアやポケットを設けた機能的な工夫、香りや色でお気に入りの服を楽しむことができる…など様々なアイデアを提案し、いくつもの試作品を経て、最終的なカタチに仕上げたそうです。
残念ながら、商品化には至りませんでしたが、このアワードの展示会に並べる作品のひとつに選ばれ、東京、大阪、名古屋でのイベントに展示され、多くの皆さんに御覧頂くことができました。

回を重ねていく毎に、試作品がブラッシュアップされ、クオリティーが上がっていくことを経験することはとても実践的なデザインのプロセスです。
1年生の時からアトリエにひとり残ってコツコツ作業をする姿を幾度も見てきました。小柄な身体に沢山のエネルギーを秘めた彼女の努力が実を結んだ素晴らしい成果だと思います。
来年度の大学案内にもインタビューを載せようと思っていますので、是非御覧下さい!

PD 金澤

卒業制作 進行中

ちょっとブログサボっちゃいました。

2月10日〜18日まで、第25回卒業制作展・修了展が、名古屋造形大学キャンパスにて開催されます。
この時期、学生達は制作に追われ、日夜、土日返上で取り組んでいるのではないでしょうか。
今年度、プロダクトデザインコースでは、9名の4年生が卒制に取り組んでいます。

毎年、個性豊かなメンバーがユニークな発想を披露してくれますが、そのプロセスをお見せしたことはあまり無かったので、制作過程をチラ見せしてみようかな…と思います。

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いきなり、動物の様な…人の様な…宇宙人の様な…フィギュアの制作過程です。

これって…どんなプロダクトなの…? 近年、幾つか毛色の変わった作品を制作する学生が出てきました。

使い勝手や利便性、機能性、軽量化などを製品として解決していく従来のプロダクトに加え、ビジネスの仕組みや新しいライフスタイルに寄り添った経験を提供する「企画」などを考えるパターンです。

加藤愛理さんの提案は、ネット上のバーチャルな空間に広がる街(「ゆるふわタウン」というそうです)の住人達と、アバターとして入り込んだ自分自身が体験する新しい「商空間」とでも言えば良いでしょうか?

スポンサーになる企業がこの架空の街に出店し、アバターであるユーザーが買い物や住人達とのコミュニケーション、或いは、同じ様にこの街を訪れた他のアバター(ユーザー)と情報交換などをすることができ、「ゆるふわタウン」で手に入れたポイントなどが、現実の店舗でも使えるサービスを提供する仕組みの提案です。

1990年、富士通がハビタットという、チャットを中心とした仮想現実空間を提案したことがありましたが、eコマースをよりリアルな体験型テーマパークの様にすることで、別の人格を楽しんだり、新たな出会いを含めたネットワークの構築に活用するという、SNS+EC+RPG を提案しようとしています。

彼女は「ゆるふわタウン」の住人達であるキャラクターのLINEスタンプを実際に販売し、人気の動向を確認したり、キャラクター設定の精度を上げたり…と結構、ロジカルなプロセスにも余念がありません。

「ゆるふわタウン」を紹介するプロモーションビデオも作り、展示ではその街並みや住人達を立体フィギュアで再現し、キャラクターグッズとしてのビジネス展開も想定したプレゼンテーションになる予定です。

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興味を持って下さった皆さん、是非、会場まで足をお運び頂ければと思います。

PD 金澤

デザイン女子No.1決定戦2018 スタートアップ!

いよいよデザイン女子No.1決定戦2018が、告知されました!

昨年度は、つい先日ブログでも御紹介した永田明里さんの「irodori」が、プロダクトデザイン部門の N0.1 、一昨年度は、卒業後から木工職人を目指し修行中の加治志生吏さんの「万華筐」がオーディエンス賞、2013年度には、中間彩乃さんの「Patan」が、グランプリに当たる「デザイン女子No.1」に輝いた、名古屋造形大学のプロダクトデザインコースとは、とても御縁のあるコンペティションです。

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中間彩乃さんの「Patan」

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加治志生吏さんの「万華筐」

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デザイン女子No.1 審査会場にて

 

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永田明里さんの「irodori」 左奥で立っているのが、作者の永田明里さん

各受賞作の解説はネットで御覧頂くとして、このコンペは全国の大学、短大などで建築、インテリア、プロダクトなどの空間や立体デザインを学んだ女子学生の卒業制作作品を対象としたもので、毎年100点近い応募作品の中から優れた作品に賞が与えられます。

著名なデザイナーや建築家などが審査に当たり、毎回、学生達の緊張しながらも素晴らしいプレゼンテーションを見ることができます。
今年も狙います!

名古屋造形大学のプロダクトデザイン(来年からライフデザイン)に御注目下さい!

PD 金澤

Process展の御案内

愛知県内の美大に通うプロダクトデザインを志望する4人による展示会があります。
名古屋造形大学のプロダクトデザインコース(来年からはライフデザインコース)の1年生、奥田帆南さんが参加しています。

process展

普段はあまりみることができない制作過程(プロセス)を見て、触って、感じてもらえる展示って…いったいどんな作品が並ぶのか楽しみですね!

はがき記載と同内容ですが念の為。

・会期:2018年1月10日(水)〜14日(日)10:30〜19:00(最終日17:00)

・入場:無料

・場所:市民ギャラリー矢田3階第6展示室

(地下鉄名城線ナゴヤドーム前矢田駅下車 1番出口 南へ徒歩5分)

 

彼女もそうですが、学外にネットワークを持っていると世界が広がり、アウトプットの幅も広がります。
学生の皆さんには、是非、他大学の学生やJIDA(日本工業デザイナー協会)等の学外団体、地域のネットワークや学外コンペなど、色々な社会との繋がりを持ち、活動して欲しいと思います。

若いエネルギーが発信するメッセージを是非、ご覧下さい!

 

PD 金澤

デザイナーにとって、スケッチは大切なコミュニケーション手段

今年もあと1週間で年内の授業は終わり。
1年生は、毎週火曜日は私のスケッチの授業です。

ボールペンや鉛筆、マーカー等のドライマテリアルでのスケッチに取り組んできました。
透視図法のロジカルな考え方と、直感的にバランスを判断する感覚的な視点の両方が大切で、初めてマーカーでID(インダストリアルデザイン)スケッチを描く人には慣れないハードルも多かったと思います。

でも毎年のことですが、みんな集中力が高く、黙々と作業を進める学生達を見ていると、たった9ヶ月でとても逞しく、そして頼もしくなったと感じます。

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シーンとした緊張感の中、みんな黙々と作業してます

今回、取り組んでいるのは図面から形状を読み取り、説明しやすいアングルを自分で決めてスケッチで表現する課題。

 

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写真の彼女は仕上がりが自分で納得出来ない様で、今日3枚目のトライ。提出ギリギリまでもがく様です。

 

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この学生も、これまで描いてきたスケッチと返却時に付けたコメントを振り返りながら、丁寧に作業を進めています。
彼女はAO入試で入ってきた学生ですが、ご覧の様になかなか上手に描ける様になりました。

1年生の間は、ひとつひとつが地道で根気のいる課題です。
多少の早い遅いはありますが、投げ出すことなく、しっかり仕上げる習慣を身に付けてくれている様で、毎年いい学生が集まってくれたと感じる瞬間です。

PD 金澤

1日体験入学 お疲れ様でした(^-^)

12月9日は冬の1日体験入学イベント、AOや推薦で合格が決まった皆さんの入学前プログラム、デッサン講座などで造形大は寒さを吹き飛ばす大賑わいの1日でした。
ライフデザインコースでは、1日体験入学の授業としてスマホ用スピーカーを作りました!

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今回は18名もの生徒さんに参加頂きました。

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ライフデザインコースのアトリエも大賑わい!

バックロード式スピーカーの原理とポイントなどを説明してから、先ずはレーザー加工機のデモを見学してもらいました。
パーツの確認と組み立て手順を説明した後、いよいよ各パーツを組み立てます。

サイドパネルには、見学してもらったレーザー加工機で彫刻した皆さんの名前入りパーツも使用。 自分だけのオリジナルボックススピーカーを完成させました。

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外観は100mm四方程度の箱ですが、中身は蛇行する管形状。管の全長は350mm程度あります

ボランティアでサポートしてくれた在校生達も粉まみれになりながら大奮闘!

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2年生の久保さんは、ベルトサンダーの指導でデモ作業! 粉だらけで頑張ってくれました!

時間に余裕のある人達は、レーザーで切り抜いた色々なパーツで外観のデコレーションも!

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思い思いのデコレーションを検討

完成後は自分のスマホを取り出して視聴です。 生音との違いを聴き比べながら、皆さんその効果を確認出来た様です。

ライフデザインコースを希望する人達ばかりではありませんでしたが、生活の中にある「ものづくり」の楽しさを感じてもらえたなら嬉しいですね。 次回も是非、参加して下さい!

 

PD 金澤

 

 

三好悠介登場! あいかわらずのバイク乗り

最近、コースの OB / OG がよく研究室に遊びに来てくれます…そういう時期なんでしょうか?

今日、訪ねてくれたのは、この3月に卒業した三好悠介君。 とにかくバイク…オフロード大好き小僧で、卒業制作でも迷わず日常でも使えるユーティリティーを備えたオフロードバイクをテーマにフルサイズモデルを作ってくれました。

卒業後は、神奈川県の川崎市に移り、某電気製品メーカーにゲストデザイナーとして入り、1年目…卒業後、半年ちょっとで既に幾つかのプロジェクトに参加しているとのこと。

セルフレジ機器、ATM、カラオケ機器など幅広い分野を手掛けているそうで、来年には参加したプロジェクトが世に出る可能性もあるとのこと!(ハヤッ) もちろん卒制でも頑張りを見せてくれた彼ですが、社会人になってからは一層、コンセプトをしっかり考える習慣が大切だったと感じる様になったそうです。 夏前には気持ちがダウンした時期もあったそうですが、先輩社員に刺激を受け更に成長したい! と今日はとても前向きな…そしていつもの男前な笑顔を見せてくれました。

職場の上司が同じくオフロードバイク乗りだそうで、一緒にツーリングにも出かけるとのこと・・・上司に恵まれました…とは本人の弁。

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いつも爽やかな顔しとるな…こやつ

今回、造形大に来てくれたのは、こちらで新しいバイクを買う為だそうで、昨日も雨の中、新東名を寒さに耐えながら疾走してきたそうです。

何を買うのかと思いきや…もちろんオフ車…

「で? 何?」

「外車です…」

「どこ?」

「KTM(オーストリア)で…」

「なんぼ!?」(関西人の習性)

「○○万超えで…」

「うひょ〜!」

「さっそく、社会人してますな〜」(ちょっと羨ましい)

 

閑話休題…ここ立て続けに卒業生がアトリエを覗きに来てくれる・・・私にとって何より嬉しいモチベーションです。 元気な時はいい…辛い時や行き詰まった時に愚痴を言いに来るだけでもいい…いつでもフラッと来てもらえる研究室でありたいですね。

さて、次は誰が来てくれるのかしら・・・これを読んだあなた! 行かなくてはいけない気がしてきたでしょう!

PD 金澤

 

 

 

 

森田裕之登場 またも快挙!

登場シリーズ第2弾

今日は、プロダクトデザインコースの卒業生、森田君の活躍を御紹介します。
彼は、2014年3月に本コースを卒業し、イギリスに渡り、プロダクトデザイナー:安積伸氏(今年度の卒業制作展記念公開講座に御登壇頂きます!)の「a studio」でインターンシップを経験。

この時の卒業制作作品は、イタリア主催の国際コンペティション「A’DESIGN AWARD & COMPETITION」にてArts, Crafts and Ready-Made Design Category Silver prizeを獲得しています。(このコンペティションは世界最大の規模を誇り、カテゴリーは105項目、世界150カ国からの応募。2014年の応募総数は約12000件。審査員には50人のデザイナー、ディレクター、ジャーナリスト、専門家がおり、全員の評価と投票で賞が決定します)
【受賞作品】
http://www.adesignaward.com/design.php?ID=31494

 

そしてその後、スイスの美術系大学院に進学した経歴を持ちます。
今回は、その大学院での修了プロジェクトが、この度ジェームズダイソンアワードの国際トップ20プロジェクトの1つに選ばれました!!

以下、御本人の Facebook から引用。

電力供給がない環境でも使えるハンディ掃除機のデザインです。車の中や料理をした直後のキッチン周りなど、日々の生活環境を気軽に少しだけ綺麗に保てるようにとスタートしたプロジェクトです。充電や電気コードの煩わしさから解放する為に、電気モーターを補う手動の機構を開発し、低騒音で使える事を目指しました。
詳しいプロジェクトの詳細は以下のリンクをご覧ください。
https://jamesdysonaward.org/ja/projects/omit/ (是非、動画も御覧下さい)

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2015年に招聘講師で訪問してくれた安積伸氏と(向かって左から、森田裕之君、安積伸氏、筆者)

彼は現在帰国し、セルフプロダクトを進めながら次なるチャンスを狙っており、最近はアトリエにもよく顔を出してくれています。

せっかくの機会ですので、現在彼が取り組んでいる天然ゴムを使い、成型方法を学生達にも体験してもらいながら、素材から発想する彼のプロセスを紹介してもらいました。
デザインに対する彼の貪欲な取り組み姿勢と考え方は、後輩達にも感じて欲しいところ! 彼にも更に羽ばたいて欲しいですね!

PD 金澤