ゴーヤは、それほど苦くない。

今回は、知的財産権とデザインの話。

私達プロダクトデザイナーの権利を守ってくれるのは意匠権。 でもアートやアニメ、漫画やジュエリー、建築、イラストやグラフィック…造形大で学んでいる他コースの皆さんの作品も、ちゃーんと著作権や商標権で守ることが出来ます。

企業にいた時には、専門の知財部門があり、言われるままに新型モデルの6面図とデザインの狙いや特徴などを書いた書類を揃え提出したものですが、造形大に来てからは自ら知的財産管理技能士の資格を取る…そんな関わり合いをすることになりました。

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(画像は、実際に意匠登録に使用したRVRという車の外観とインパネの6面図+斜視図)

授業では、ニュースになった過去の意匠権争い事案の紹介と関連する法律の概要をおさらいした後、特許庁から頂いた意匠権に関するビデオの視聴。

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公共機関が作るビデオ特有の独特なお芝居の「わざとらしさ」に苦笑しながらの40分。 でも学生の皆さんのウイークリーレポートでは「分かりやすい内容で意匠権の大切さがよく判った…」と好評…やるな特許庁。
詳細は、下尾先生の「ものづくりの法律」で詳しく学んで頂くこととして、こういった法律の存在や意義・目的などを正しく理解しておくことが、とても大切な時代になってきたことを受け、興味を持って頂く導入編としては、まずまずの反応だった様です。

最近の企業の現場では、デザイナーといえど様々な知識や経験が求められています。
本業の創作物の保護に関するものは勿論、社内でのプレゼンテーションに使用する資料作りやイメージパネルを作る際のカタログ写真の版権、代理店さんとの打ち合わせ時に交わすNDA(秘密保持契約)、新型モデルが掲載された雑誌の社内回覧の是非…等々、日常の間接業務に於いても気を付けなければいけないことが沢山あります。 私が所属していた会社は、過去に引き起こしてしまった不祥事を教訓にして、コンプライアンスに関する徹底的な意識改革を図り、日常の中で法令に関連する情報に触れる機会もずっと増えました。 どの企業も法令遵守に関しては、かなり真剣に取り組んでいます。

デザイナーは…医者や法律家の様に資格のある商売ではありません。 感覚と経験を積み重ね、普通の人よりはユニークな視点で物事を見つめ、新しい発想と美しい創造で人の気持ちを動かす商売ですが、難しい試験を突破した訳でも沢山の法律を憶えた訳でもありません。
「センスで勝負するんだー!」と叫びたい気持ちは分かりますが、私達「ものづくり」を学ぶ人間にとって「作りっ放し」ではいけない時代なのです。 自分の権利を守る為だけでは無く、むしろ知らない内に他人の権利を脅かしかねないこと…それが大きな責任として身に降りかかってくる危険に敏感になる必要がある時代なのです。

資格は持っておいて邪魔になることは絶対にありません。
私も4月に赴任して、下尾先生の「ものづくりの法律」のクラスを受講させて頂きました。
まだ受講していない方に、ちょっぴり予告編…「著作権の定義:思想または感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの…」こんな難しい文章を一発で憶えることが出来る「下尾メソッド」が満載。
特許発明、出願5パック、意匠法、商標法…等々、嘘の様にあれよあれよと憶えちゃいます。(通販番組みたいになってきた…)

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50を過ぎた私が3ヶ月勉強して知財3級に受かるところまでガッツリ教えて頂きました。
皆さんの若い頭なら、ちゃんとやれば絶対に大丈夫!

是非、知的財産管理技能士の試験にもチャレンジして下さい!
確かに法律は難しいですが…苦いゴーヤは、下尾先生が美味しいチャンプルに料理してくれますから、安心して食べなされ!

 

プロダクトデザイン 金澤