2月16日から栄にある愛知県美術館にて、卒業制作展・大学院修了展がスタートしましたが、この作品の制作にも3Dプリンター「ZEUS」は活躍しています。
しかも、プロダクトデザインコースのみならず、他コースからも3Dプリンターの活躍を聞きつけた学生からトライしてみたいとのオファーがありました。
今回はその実例をいくつか紹介してみましょう。
先ずは、プロダクトデザインコースの須田さんの作品。
コンセプトは、化粧直し用に携帯する口紅をバングルと一体化させ、お洒落に手軽に身に付ける新しいコスメの提案。
バングル部と口紅の顔料をホールドするパーツ、またそのアクセサリーとしてのバリエーションのモデル化に当たり、先ずはサイズやデザインの試行錯誤から始まりました。
最終的にはメッキ仕上げの必要性から鋳物での制作に移行するのですが、アイデアを簡単に短時間で検証、確認する為に3Dプリンターが大活躍。
イメージする形状をスケッチから3Dモデリングソフトでデータ化します。
パーツの分割や艤装構造、部品としてのクリアランス等をデータに盛り込み、出力してみます。
ほぼイメージ通りにモデルが出力されました。 手前の出力は、顔料が入る部分と結合の構造を確認するためのハーフカットモデル。
顔料容量の妥当性やバングル部との結合構造の確認をしてみます。 すると結合用の爪の位置と大きさに問題があることがわかり、早速データを修正し再トライ。
今度は、右奥のモデルの様にトップ部とバングル部がピッタリとフィット。
もちろん、手首に付けてみてサイズや装着感、デザイン形状がイメージ通りかもこの試作品でチェック!
本番用の鋳造をサポートしてくれる学外のスタッフに説明する時にも、モデルがあるととても便利。問題点の共有や気を付けて欲しい部分などの情報を体験的に共有できるのも実寸大のモデルならではのメリット。
アイデアを簡易にスピーディーに具現化することができる…これが3Dプリンターの魅力ですが、これこそが、新世代のシステムデザイナーや製造業にとって新しいビジネスに結びつくヒントをもたらす重要な「ものづくり」の仕組みの変革なのです。
「ものづくり教育」の現場である美術系大学にとって、リアルな立体による試行錯誤が簡単にできることは想像以上に大きなメリットです。
さて須田さんの作品は、バングル部分のバリエーションと口紅の色サンプル、パッケージを含め特製展示台の上に見事に完成しました。 是非、会場に足をお運び頂き、そのクオリティーを御確認下さい。
PD 金澤