エッグドロップの季節がやって来た

毎年この時期になると、1年生の悲喜交々の大歓声がアトリエの外から聞こえてきます。

先輩達は皆思うでしょう。そっかぁ、もうエッグドロップの季節か・・・

エッグドロップとは、卵を5m上から落として割れない装置をA2ケント紙1枚で作るという課題なんですが、その実験現場がアトリエの外にある階段なので先輩達にはきっとうるさいはずw

NZUのプロダクトコースでは、1年生の最初の授業の課題でこれをやっています。
最初は個人戦で翌週は団体戦。
個人戦での勝者も敗者も、実験後は気づいた点や学んだ点を真剣にまとめて、次の勝負に備えます。

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グループ間で各々自分の失敗から学んだポイントを共有して、グループ全員が割れない装置にしなければなりません。

今年は団体戦のルールを変えました。

例年1人1個の卵でメンバー分の数でしたが、今年は卵5個分の装置をA2ケント紙3枚で1つだけ作るというルール。1つでも割れたらアウト。しかも、落とすのは自分たちではなく、敵のチームが割れるだろうと思う角度で落とすという意地悪なルール。

「意地悪じゃないよ。デザイナーが求める使い方をしてくれないユーザーだっているんだからね?」

作るにあたっては、卵1個とは勝手が違います。装置の中で5つの卵同士が触れたり動いて当たったり、そんな事まで考えなければなりません。

そして一週間後。

出来上がってきたものは、とても綺麗なデザインになっていました。
5個も入るとなると、ちゃんとした考えと構造が求められるし、レイアウトもロジカルに考えることになるから、理にかなった構造やデザインにならざるを得ないという事を彼らは体得したことでしょう。

さて実験。

グループワークですから、騒ぎは先週の比ではありません。
残念ながら、皆1回目で卵は割れてしまいました。
でも、残念がる間もなく「どうして割れたんだ?」と落ちた装置に駆け寄り、無残な装置を見て考えている姿勢は頼もしい。

 

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わーわーキャーキャーと楽しみながら学ぶのは悪い事ではありません。
でも、そんな彼らを一瞬にして黙らせるのはとても簡単。

「ねぇ、もし渡した卵が将来のある有精卵だったらどうする?」

瞬く間に、彼らはデザイナーとしての責任を自覚し、目つきが変わるんです。
この瞬間が本当に面白い。

 

下尾

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