3Dプリンター奮闘記

santec 株式会社様との産学連携…3Dプリンターの用途開発!

前回はデジタルメディアデザインコースの水野君の作品を紹介しましたが、この作品は小さな凹凸や細い合わせ部品を含む数多くの種類のパーツで構成されています。
例えば、履帯(キャタピラ)を構成する1つのピースは画像(図1)の様なディテールを持つ形で、シャフトを介してお互い隣のパーツと繋がります。(図2)

りたい44

図1

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図2

本当は、ピンクの部分と肌色のパーツも分かれていて、可動するジョイントとなるのですが、ピースが細かくなり過ぎますので、ここは一体に。
苦労したのは、部品中央にそびえ立つ細長い突起部。 この突起はホイールのリム幅中央に設けられた溝にはまり、履帯がホイールから外れない様にする重要な部分。
4つ並んだ試作品の一番右側が初期品です。(図3)

図3

図3

中央の突起部が潰れてしまっていることが判ります。(赤丸)

3Dプリンターは等高線を…年輪を描く様に熱した細いフィラメント(熱可塑性樹脂)を出力し積み上げていきます。

出力の様子を観察していると、部品が小さいため、出力したフィラメントが冷えて固まる前にどんどん次の高さを出力してしまうことから、しっかり積み上がっていかないことが判明。出力速度の調整してみても改善が見られませんでした。

後期の試作(図3左2つ)では、最後には切ってしまうダミーの柱(青丸)を2本設け出力。 するとダミーの柱を出力する間にメインの柱が冷え、しっかり上の層が積み上がって行くことが分かりました。
当初はジョイントの為のシャフトも一体成形してしまおう(黄丸)と試みたのですが、剛性と精度が必要となることから断念。 そのお陰で、後で切断しやすい部分にダミー柱を立てるエリアを確保できました。

小さなパーツですが、ひとつの形状を再現する為に、色々なアイデアと試行錯誤が詰まった水野君の力作です。

つづく

PD 金澤