Here come the future!

Back to the Future 2 でドクとマーティーが未来に降り立った2015年10月21日。

ほぼ30年間の時間を超えて私の前に現れたのは、プロダクトデザイナーの安積伸氏。
仕事の関係で名古屋を訪れることになった機会に名古屋造形大学に立ち寄ってくれました。幾つもの美術館でパーマネントコレクションにもなった沢山の作品を始め、多くの素晴らしいデザインを手掛けている安積君。 今回はプロダクトコースの学生を相手に興味深い貴重な話を聞かせてくれました。

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彼の作品とその開発にまつわる着眼や発想手法も面白く、それらを聴いた学生の皆さんが、何を感じてくれたのか…にも大変興味がありますが、私が…今は教育の現場にいる私が、安積君からの大切なメッセージとして受け止めたのは、若い世代に「志」を伝えることの大切さ。

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美術系大学では、テクニカルなスキルや知識としての手法、ロジカルな思考方法や経験としてのものづくりを伝える現場でもありますが、全ての背景にあるモチベーションの根源は自身の「志」の高さと「もがき続けることが出来る情熱」に尽きる。

安積君は若い頃に単身、異国の地で苦労し、自らの力でチャンスを広げてきた経験を持っている。
異国の地で向き合うのは、伝わらない言葉や異なる文化や生活もさることながら、「孤独」との戦いだと思う。 よしんば片言の英語が通じる友人が出来たとしても、心の機微が伝わる量は半分にも満たない。 現在の様な…身にまとわり付いて来るほどの通信手段の無かった80〜90年代初頭、単身で海外に暮らしていると…彼もまた、自分と向き合う時間に否応なく支配され…志と夢を増幅させ、成長した自分を想像しながら「もがく」以外にエネルギーを使う余裕など無くなってしまう経験をしたに違いないと思う。

そんな苦労をことさらに感じさせることもなく、むしろ淡々と上手くいくレールの上を走って来たかの様な彼の話を聴きながら、その大変だったであろう時間を想像していると、彼もまた「デザインが好きでたまらない人種」のひとりなのだと確信する。
デザインって、本当は自由で楽しいものなのだ…高みを目指して夢見る力と希望を伝えることが、今の私の仕事だと認識した。

どんな人にも様々な繋がりがありますが、この志の高さと…もがき苦しむ情熱を秘めた魅力的な人柄は30年前と少しも変わらない…まさにタイムマシンに乗ってやってきた…安積伸はその素晴らしい作品から滲み出る人柄そのままに、やっぱり素敵なデザイナーだった。

PD コース 金澤