須本壮一先生特別講義レポート

昨日はマンガコース全学年対象で「長く漫画家として続けていくために」と題した漫画家須本壮一先生による特別講義でした。

前半は須本先生の今に至る漫画家人生の紆余曲折についてお話しいただき、後半は主に学生との質疑応答で熱いマンガ論を語っていただきました!
以下内容に関して石川のメモしたポイントを箇条書きであげておきます。

・高校時代から岡崎つぐお先生のアシスタントに入り、編集者の言う通りネームを直してデビュー出来たが、当時は「どうしても描きたいもの」が特になかった。
・編集者が異動してマンガに絶望し、単身アメリカへ。ビバリーヒルズの寿司屋で将来の選択を考えた時、突然この体験を漫画にしたいと言う気持ちが起こって帰国。その想いだけで描いたのが「3RD ST(サードストリート)」。
・打ち合わせでは編集者の意見を引き出すまで喰らいつく。そして編集者の言われたことを嫌がらず面白がる感性が必要。
・連載会議に出すネームで36回直した事もある。
・社会が自分に求めていることが自分のやりたい事とは限らない。リクエストに応える、それが仕事。
・漫画家として続けていくために必要な3つの要素は「表現力」「企画力」「構成力」。その全てでなくとも、どれか一つで仕事が取れるレベルまで尖らす。
・(就職かアシスタントか迷っているという質問に対し)マンガか仕事かという切り取り方が間違い。アシスタントはマンガが上手くいかない人の逃げ道ではなく、表現力で仕事を取れるように修練する場所。アシスタントが1日10時間作画しているのに対し、仕事をしながらマンガを描くのはせいぜい1日4~5時間が限度。ただし仕事もまたマンガのための経験と取材と考えれば「企画力」はアシスタントより断然身につく。要するに自分に何が必要で、自分がどのような作家を目指すのか「分析」と「覚悟」が必要なのである。

今回須本先生の講演を拝聴してて自分的に目からウロコだったのが、大学マンガコースの教員として就活と作家志望を分けて考え、仕事をしながらなるべく早くデビューする道を探すという卒業後1~2年のスパンでのキャリア構成で考えていたのに対し、先生のお考えは就職も含めた5~6年のロングスパンで作家を目指すという考え方で、それが結果的に短期消費されないしっかりした武器を持つ作家になる道なのかもしれないという事でした。

お忙しい中わざわざお時間をいただいて貴重なお話を聞かせていただいた須本先生、ありがとうございました!

須本壮一先生特別講義


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