山本直樹先生公開講座「マンガとエロス」レポート

先週の6月7日に行われましたマンガコース主催の山本直樹先生公開講座「マンガとエロス」、学外からもたくさんの方が聴講に見え大盛況でした。以下レポートです。

今回の公開講座は事前に学生から集めたアンケートを元に山本先生と舞草先生でトークするという形でしたが、まず最初に学生からの「エロ漫画に教科書のようなものを求めないで欲しい」という意見からフィクションと現実についての大変興味深いお話が展開しました。

・マンガ、小説、映画、演劇、スポーツ、ギャンブル、ゲーム、宗教、イデオロギー・・は「フィクション」である。
・「フィクション」とは幻想である。「フィクション」とは現実に向かうための武器である。
・「現実」とは普通に暮らし、いつか死ぬという事である。
・現実とフィクションの混同が起こると様々な問題が起きる。現実から乖離して言葉(幻想)にのめり込む事で「レッド」の惨劇は起きた。
・同時に創作としては現実とフィクションの境目(グレーゾーン)が一番面白い。

そこから山本先生についての質問をもとに創作に関するエピソードが続きます。

・80年代にエロマンガ同人からマンガを始めた。その後商業でストーリー物を連載するが自分はいつでもエロマンガに戻ればいいと思っているから、商業で仕事がなくなったら・・等と心配した事がない。
・ペンは苦手。ペンは書道みたいなもので「正解の線」を引くもの。自分はそれが苦手だったので今のタッチになった。
・1992年に発売された「アドビスーパーペイント」というお絵描きソフトを現在も使用している。絶版の技術なので使用するPCもストックでG5を4台持っている。
・シャープペンのような、ロットリングのような、硬い線が好き。CGっぽい表現は嫌い。
・太田出版とは長い付き合いで信頼関係がある。描きたいものを描ける。
・エロが好きで始めたマンガ稼業なのだが、「レッド」には絵を描く快楽がなかった。12年間ずっと辛い仕事だった。

終盤は学生に対するアドバイスにもなるようなお話もいただけました。

・「人は自分のマイナス札で勝負するしかない」
・いつでも「月並みにならないように」考えている。
・エロいシーンは指先、手先をしっかり描くと良い。
・エッチなシーン(シチュエーション)を考えてて最後に「このマンガ、ストーリーあるじゃん」と気付いたのが「BLUE」。
・キャラが物語の歯車になるとつまらない。キャラがストーリーの道具になってはダメ。
・作中の人間がまるで生きてるように見えなくてはならない。「生きている」と読者も自分も騙せるようなマンガを描く。
・いろんなものを見なさい。頭で考えるよりパクれ。お金をもらいながらうまくなるのがマンガ。

最後は大きな拍手で講座は終了、その後には先生にサインを頂く外部からのお客様の列も出来て、皆さんにとってもかなり充実した時間だった事が伺えました。本当にやってよかったと思います。

お忙しい中お時間を作って名古屋造形大学で講演していただいた山本直樹先生、ありがとうございました!
そして今回のお話をセッティングしていただき、進行役をしていただいた舞草先生、ありがとうございました!

マンガコースでは今後もこのような企画を行っていきたいと思います。今後とも名古屋造形大学マンガコースをよろしくお願いいたします。

公開講座「マンガとエロス」


公開講座「マンガとエロス」


公開講座「マンガとエロス」

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