午前中は大学で仕事。書類の整理など、やることがたくさん残っている。
午後からは犬山市国際交流員のジャクリーヌ・シュピーザさんの講演を聴いた。
シュピーザさんの出身地はドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州。大学はデュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学なので、デュッセルドルフに住んでいた私としては親しみを感じる。また、50歳少し前になって、この大学で夏のドイツ語講座を受講したこともある。
シュピーザさんは流暢な日本語で、日本で見たこと、感じたことについて話をされたのだが、日本と日本人について、あらためて気付かされることも多く、2時間を十分に楽しませていただいた。
「日本人は働くために休むが、ドイツ人は休むために働く」という言葉に、よく言われるような「ドイツ人は勤勉で日本人に似ている」といったステレオタイプの思い込みがまったく違っていることをあらためて感じさせられた。
こと労働時間に関しては、日本はいわゆる先進国の中では飛び抜けて異常だと思う。そうでなければ国が成り立たないなら、それは本当に豊かな国と言えるのだろうか…
などと考えながら、名鉄線に乗って名古屋へ。
夕方から愛知芸術劇場コンサートホールで「ロシア音楽の夕べ お話の音楽」を聴いた。
聴いただけではなく「観た」。
というのは、視覚的にも大変面白く楽しめたからだ。
このコンサートはピアノ曲、声楽曲、小編成のオーケストラ、合唱などさまざまな音楽で構成されていた。
プロコフィエフの「ピーターと狼」では、それぞれの楽器の奏者が小鳥、猫、オオカミなどを表した帽子をかぶっていたり、木立に似せたちょっとした装置が置いてあったり、雰囲気を醸し出していて、とても楽しい演奏だった。
また、ローゼンブラットというユダヤ系ロシア人の作曲家の「2つのロシア民謡によるコンチェルティーノ」はピアノ連弾の曲なのだが、奏者が途中で移動し、1人の背後から”二人羽織”のような姿勢で演奏するなど、視覚的にも面白く、スリリングだった。
この作曲家はオスカー・ピーターソンを好んでいるらしいが、この曲もジャジーな感じで、躍動感があり、演奏も素晴らしかった。
ちなみにローゼンブラットは「鉄腕アトムの主題によるファンタジー」や「宮城ファンタジー」などの日本に因んだような曲を作っているらしい。一度聴いてみたいものだ。
プログラム中ではロシア民謡も幾つか歌われたが「ともしび」「赤いサラファン」「モスクワ郊外の夕べ」など、哀愁に満ちたメロディーは心に浸みる。
本当に盛り沢山な内容で楽しませていただいた。