家の用事を済まして、午前11時頃出校。
少しゆったりとした午前。
名古屋造形大学が所蔵する「石井コレクション」は名古屋の染物業「石井染工所」からの厚意により譲り受けたもので、その型紙は二万余点に上る。
今回展示できる点数は本当に少ないのだが、貴重な資産を出来るだけ多くの方々にご覧いただきたいと考え、展示した。
見ていると不思議な世界に迷い込んだようで、しばらく我を忘れて見入ってしまった。
日本人が持っていた洒脱な感覚は世界的に見ても非常にユニークだと思う。
思わず「持っていた…」と書いてしまったが、世界中で民族独自の感覚や地域特有の文化が恐ろしいスピードで消えつつある、という思いがあり、我々もその例外ではないというところからこのような表現になってしまった。
もう30年ほども前、ドイツで留学生活を送っていたときにオランダの博物館で見た日本の工芸作品コレクションに驚嘆したことがあった。ヨーロッパ的な感覚に慣れ親しんでいたときに見た日本人独特の洒落た感性は非常に鮮烈で、心に染み込んできた。
今回は本当に僅かな展示しか出来なかったが、この名古屋造形大学が誇る伊勢型紙のコレクションをお見せする機会をさらに作ってゆきたいと思う。
さて、お昼は学食で「日替わり丼」360円。
カラッと揚がった揚げ物が最高!
学食を出て上を見るとツバメの尻尾が見えた。ホントに燕尾服(タキシード)みたいだね!? ヒナに餌をやっているのかな??
生き物が一生懸命(当然だろうけど…)生きている姿を見ると勇気づけられる。
午後、学長室に何気なく入ると、緑のシャワー。突然目の前が緑の光に包まれた。
今日も写真を撮っておこう。前のブログに載せた壁と反対の壁だ。
遅い午後の時間に大学を出て名古屋に向かった。テレビ塔にも傾いた陽が当たっている。
公園の植え込みでは「ヒペリカム・カリシナム(西洋金糸梅:セイヨウキンシバイ) 」の真っ黄色の花がおしべを満載して咲いていた。これは南ヨーロッパ原産らしい。そういえば何となく南ヨーロッパっぽいような…?
出力センターに展覧会の4作品データを提出。打合せを行った。
取りあえず、一息!
実は先日テレビ番組で牛丼の価格について採り上げられていたのだが、それを見ていて無性に牛丼が食べたくなった。
学生時代にはよくお世話になったものだが「安い、早い、美味い!」といっても、当時の学生にとってはそれほど「安い」とも言えなかったような気がする。
「牛丼一筋 80 年〜♫」というコマーシャルをやっていたのが35年前 …だとすると牛丼一筋 115 年になるのかな〜? でも「豚丼」やっちゃったら「牛丼一筋」ではないよね、すでに!?
ところで「肉多めのご飯少なめって出来ますか?」と聞いたら「はい、あたまの大盛りですね!?」と言われて驚いた。そのような言い方をするんだ!! レシートにもちゃんと書かれている。
正直、記憶の中の牛丼の味の方がもっと美味しかったような気がする。とはいっても決して今回のが美味しくなかった訳ではない。やっぱり学生時代は牛丼一杯食べるだけでもちょっと考えてからという「プチ決断」が必要だったわけで、その分、ありがたみも違ったのだろう。
まあ、満足して夕闇迫りつつある名古屋の街を歩いた。本当に久し振りだ、ゆったりとこんな時間に街を歩くなんて…
そして、「ショスタコーヴィチの横顔」というコンサートホールへ。会場は電気文化会館の「ザ・コンサートホール」。
実は今日と明日の二日間、栄の愛知県芸術劇場コンサートホールでショスタコーヴィチの交響曲第6番、そしてシュニトケのヴィオラ協奏曲という大変魅力的なプログラムがある。明日は出張のため今日しか機会がないので大変迷ったが、こちらにした。ショスタコーヴィチの歌曲というのもなかなか聴く機会がない。
コンサートは、ショスタコーヴィチ家の客間を模した演出などもあり、楽しく聴かせていただいた。
聴いていて色々発見があったが、ショスタコーヴィチは映画音楽もたくさん書いていて、ある意味肩の力が抜けた馴染みやすい音楽が多く、ちょっと武満徹に(が)似ている。世俗的な音楽であっても品があり、豊かな世界がある。ショスタコーヴィチ、武満徹、まだまだ知りたいと思う。
私も結構長く生きてきたが、まだまだ”未踏の森”があることがうれしい。
そうそう、最後に聴いた「ピアノ三重奏曲第1番 作品8」がなかなか面白かった。”視覚的”に聴いて面白い音楽で、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの絡みが面白く、17歳のショスタコーヴィチの豊かな才能が感じられた。
ちなみにこの曲はショスタコーヴィチが当時恋をしていた女性に献呈されたとのことで、家計を助けるために映画館で伴奏ピアニストのアルバイトをしながら練習したらしい。
コンサートを終えてバス乗り場に向かうついでにちょっと(?)足を伸ばして立ち寄ったいつもの店で、名古屋音大の髙橋前学長とばったり。
少しお酒を飲みながら本の話などをした。
ここでも幾つか読みたい本が出てきた。未踏の森がたくさん姿を現してきたようだ。