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卒業生紹介

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安藤正基先生


Profile

安藤正基先生

安藤正基
映像文学領域(旧マンガコース) 卒業

<略歴>
一迅社ComicREX
『八十亀ちゃんかんさつにっき』連載中
毎月7・15・28の758(名古屋)の日にTwitterでも4コマ更新
過去作『ぶんぐりころころ』

Twitter
八十亀ちゃんかんさつにっきTVアニメ化

なぜ名古屋造形に進学を決めたのですか?

マンガ家になりたいとは思っていたんですが、まだ将来を悩んでいたので、とりあえず大学は出ていた方が賢明かなと考え、県内で唯一漫画を学べる大学だったので名古屋造形に進学を決めました。
専門学校という考えもあったんですけど、あまり良い噂を聞かなくて…(笑)
ただ通っていた高校が普通科の進学校で、おまけに理系を専攻していていたので、高校の担任の先生に「受験したいです」と話したら、本当に止められて。
でもどうしてもマンガコースに行きたかったので、進学校だからホントはダメなんですけど、AO入試を内緒で受けて…担任の先生は頭抱えてましたね。
「他の子はまだ受験も始まっていないのだから、受かったことは周りに絶対内緒だからな」と釘を刺されました(笑)
AO入試の試験はお題の小説がいくつかあって、その中から一つを選んで好きな場面を二日掛けて2ページ分のマンガを描くというものでした。

マンガを描き始めたのはいつからですか?

安藤正基先生写真

小さい頃から自由帳とかには漫画を描いていたんですが、原稿用紙にインクで本格的に描き始めたのは高校1年生の時です。その頃から漫画を投稿し始めてました。中学の頃はなんとなくマンガを描いていたぐらいだったんですが、高校の時に、学校の授業についていけなくなって…時間を持て余したのもあってその後のやる気のベクトルがマンガになった感じですね。

イラストでも絵でもアニメでもなく、マンガ家を目指した理由は?

絵を描くのが好きというわけじゃなくて、「マンガを描くこと」が好きなんです。昔から漫画ばかり読んでたので。大学入るまで、いわゆる深夜アニメとかはほとんど見てなかったです。絵を描くのも好きなんですけど、色を塗ることが全く好きじゃないんですよ。今でも嫌です…誰か塗ってくれないかなっていつも思ってます(笑)
数年前にラインスタンプとかも作ったんですけど、40個色付けるのがほんとに地獄でした(笑)
というのも実は軽い色盲が入っていて、どれを塗ればこの色になるのか、分かりにくいというのがあって、色塗りは苦手です。
だから白黒で描ける漫画家を目指したんですけど…結局漫画家も色を塗る機会は多いのであんまり意味なかったですね(笑)

授業はどのような内容でしたか?

僕のいた頃は前半30分ぐらい技術的なことの板書があって。起承転結とはとか、背景の描き方とか、キャラの骨格の描き方とか、そういうことが多かったですね。で、残りの時間はだいたい前半で出された課題の制作、それも終わった人は自分の作品やネームを見せに行く時間になります。そうやって自分の作品について評価してくれたり講評してくれたりする機会が多くて、本当にありがたかったですね。課題とは別のものでも、授業内で見てくれるんですよ。もちろん授業後でも見てもらえます。
いつでも1対1で自分の作品について指導してもらえるのが名古屋造形の最大の魅力だと思います。
授業の課題内容は、背景を四点描くとか、5人組のキャラクターを考えて描くとか、出されたお題に沿ったネームを描くとか…色々ありました。それらをこなしつつ、更に自主制作を行うのが基本ですね。

大変だったことはなんですか?

僕がいた頃は複数人でアニメを作る授業があったんですけど、必然的にグループワークが必要になるので、その時は苦労しました。
漫画描いてる子って1人で作品を生み出しているので、我が強い人が多いんですよね。だから全然噛み合わなくて、大変でした。

デビューはどのような流れで決まったのですか?

ジャンプSQ.さんが毎年全国の美大・芸大を周って漫画家志望の人から原稿を募ってその中から1番を決める「美大・芸大キャラバン」という企画があるんですけど、大学2年生の頃に名古屋造形大学にもきてて、その時に優秀賞に選んでいただいて読切デビューしました。その頃は今とは異なるショートのギャグ漫画でしたね。
そこまでは良かったんですけど、その後からが長くて…。増刊の読切漫画の掲載を決めるコンペが2ヶ月に1回あったんですけど、8回とか9回落ち続けましたね…だから丸2年ぐらい、セカンドデビューができない状態でした。
その時に「もう無理…」って思い初めて、もう4年生だったので最悪就職しようとも考えたのですが、最後ぎりぎりの時にやっとコンペに通って読切が掲載されて。まだ頑張ってみようと思いました。卒業してからはバイトと漫画のアシスタントを掛け持ちしながら作品を描き続けて、1年ぐらい経った頃にツイッターに載せてた4コマを見た今の担当さんに声を掛けて頂き、八十亀ちゃんの連載が決まりました。ぶんぐりころころは同時期にマガジンの編集さんにネームや案を提出していて、連載会議を通って連載になりました。なのでスカウトと自分からの売り込み、2パターンの方法で連載デビューしてます(笑)

マンガコースブログ 「2年生安藤正基さん、入賞!」記事

SNSからのデビューって、実際どうなのですか?

僕はたまたまSNSでの漫画家デビューがまだそんなに多くない時期だったので…今はそれを狙う人も増えてきたし、一からネットだけでデビューを狙い続けるのは難しいと思います。SNS向きなのは四コマとかショートの漫画なので、そういうのを描くのが苦手な人には特に厳しいですね。どうしても得意不得意があるので、ネットにあげるのも出版社に投稿するのも両方チャレンジしてみて、上手くいった方でやって行けば良いと思います。

マンガ家になってみてどうですか?

楽しいです。大変なこともありますが、今の連載は四コマがメインで、比較的毎日好きな時間に仕事ができるので。今日もゆっくり昼まで寝てまったりしていました(笑)仕事中も好きな音楽とか動画を流したり、人と話したりしながらもできので、最高ですよ。アシスタントさんも各自の自宅で作業してもらってネット経由でデータを送ってもらっているので、家が広くなくても大丈夫ですし。そういう自分の好きな環境でも仕事できるのが魅力的ですよね。

アシスタントはどのようなことをするんですか?

僕のところは背景とかはほぼ全部アシスタントさんで、トーンとかベタもですね。キャラは全部僕が描いています。後は僕の話を聞いてもらったりとか…(笑)アシスタント側になった時に大変なのは、絵柄を合わせなきゃいけないところですね。特にモブはなるべく近い絵柄じゃないと、浮いてしまうので…。モブは大体頼む人が決まってきますね。

マンガ家さんの面白いエピソードを教えてください。

知り合いの作家さんに、小中高通して人生で1回も学校に通ったことがない方がいて。喋ってても全然そんな感じはしないんですけど、やっぱり学校生活とか制服を着ることに憧れがあるらしくて。だから学園マンガを描いているんですよ。その人にとっては、学校ってファンタジーの世界なんだなぁって思うと、面白いです。

大学生に戻れるならどうしたいですか?

もっと学校行事や学生生活を楽しみたかったですね。大学3年生の頃からアシスタントもやっていたので、大学自体に行けないことも多くて…。本当にマンガばっかり描いていたんです、マンガ以外の事やってられっか!って(笑)でも、遊びも部活も、やったらいいじゃん、楽しんだってそれも良い経験になるよって、今なら思います。やっぱり漫画って自分の経験が活きてくるので。

八十亀ちゃんかんさつにっき (REXコミックス)

「八十亀ちゃんかんさつにっき」はどのような経緯で描き始めたのですか?

知り合いの先生たちと「方言女子可愛いよね」って盛り上がっていた時期があり、「でも名古屋弁は可愛くないぞ?…まぁ無理やり描いてみよう」と、仲間内の遊びとしてSNSに載せたんです。だから、連載するとかそういうつもりは全くなかったんです。でも意外と評判が良くて。4枚掲載した時点で今の担当編集さんが「もう編集長に話は通してあるので、来月から連載してください!」と。詐欺だなって思いました(笑)
さすがに来月からは無理だったんですけど、それから4か月後に連載がスタートしました。

ネタが尽きることはないのですか?

八十亀ちゃんは季節を順番通りに進めているので、スポーツのネタ、夏のネタ、という感じでその時の状況によって扱う題材を考えてるんですよ。名古屋のあのネタをやるぞ!というよりはこの状況に合った名古屋ネタはなんだろう?という考え方ですね。だから毎回まっさらから、手当たり次第に探しているわけじゃないのでネタが尽きる感じはないですね。世の中、毎日何かしら変化はあるものなので、描いてるうちにまた新しいネタが多分誕生してます(笑)
ぶんぐりころころも、元々本屋でバイトしていた時に、文房具も扱っていたのがきっかけです。名古屋のことも文房具のこともめちゃくちゃ詳しい!ってわけじゃないんですけど、名古屋に住んでない人や文房具を売ったことのない人よりかは自分のほうがちょっと詳しいだろうな!と思うところからテーマに決めました。そこからちゃんと調べればいいので、専門家である必要はないと思います。

先生から頂いたサインと、ぶんぐりころころ (KCデラックス 週刊少年マガジン)

マンガ家に向いている人を教えて下さい。

ずっとマンガのこと考えていられる人ですかね。何か他のことしている時でも、ふと建物を見て「あれ、描きたくないな…」とか「このやりとり、漫画に使えるな」とかついつい思っちゃう人はマンガ家になるまで死ねない気がします。実際僕も、息抜きで遊んでいるのに、マンガのこと考えちゃう。息抜きは息抜きで大切なんですけどね。遊んだら遊びっぱなしの人だと、マンガの世界に戻って来られないので。
あとは、編集さんとやりとりする上でコミュニケ―ションが大切なので、言われたことをちゃんと受け入れ、そして自分の意見を発言できないと、大変かもしれません。僕も、人と話さなくていいと思ってマンガ家になったはずなのに、結局そんなことはありませんでした(笑)
なので一匹狼タイプは大変かも…せめて、悩みとかを吐き出せる友達がいると楽かもしれないです。アシスタントさんともコミュニケーションとれないと、的確な指示が出せないし、アシスタントをするにしても、わかんないことをわかんないと言えないと迷惑をかけちゃうので、コミュニケーションが苦手な人は鍛えた方がいいです。僕も昔は苦手だったんですけどなんとかなってるので、大丈夫です。

今後はどうしていきたいですか?

もっともっと今の連載を盛り上げていきたいですし、機会があれば新しい作品にもチャレンジしていきたいです。とにかく、マンガ家を続けていきたいですね。

最後に、高校生にメッセージを!

全てを犠牲して漫画に没頭する高校生活って、カッコよくて憧れると思うんですけど、それはほどほどにした方がいいですね。
例えば、漫画の中で高校生活を描くことって、たぶんたくさんあるじゃないですか。そういう時にちゃんと自分が高校生活を送っていないと、文化祭の前の日ってなにしてたっけ?とか、部活ってどんなん?とか、知らないと上手く描けないんですよね。なので、あんまりマンガばっかり描き続けない方が良いです。あとから調べることもできますけど、経験がものを言うことが多い仕事なので。描くことはそれなりにしながらも、普段も充実させてほしいです。高校生活を楽しみつつ、マンガを描く。僕も高校の頃、7時限目とかまで授業を受け、部活をやって、午後7時とかに家に帰ってから漫画描いていたので、できます!大丈夫です!