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超演出家 渡部剛己さん


Profile

渡部剛己さん

アートプロデュースコース(現美術表現領域) 卒業生
体現帝国主宰。超演出家。

渡部剛己/1987年愛知県生まれ。アトリエ魔窟を拠点とする。
2008〜2012年[体現帝国]を主宰。演出を担当。
2003〜2016年[演劇実験室◉万有引力]に所属。
2017年より体現帝国を再開。
過去に[七ツ寺共同スタジオ][三重県文化会館]の企画制作に従事。

舞台演出以外にも俳優や踊り手として舞台出演や、映像作品への出演、振付、絵画モデルなども行う。携わる作品の美術や音楽、照明を監修するなど多方面で活躍する。

利賀演劇人コンクール2016 優秀演出家賞二席受賞
日本演出者協会 会員


− 体現帝国とは

体現帝国

2008年5月に演出家渡部剛己が旗揚げした劇団。
特に演劇実験室◉天井桟敷を主宰した寺山修司より影響を受け活動を続ける。
恒常的に俳優の身体訓練を行うことで、舞台上の時空を歪ませた独自の世界を立ち上げることが特徴。
年1回以上の本公演、それに伴う実験公演を行う。名港線「六番町」駅より徒歩10分のアトリエ『魔窟』を拠点に活動。

◆Web・SNS
Webサイト / Youtube
twitter : @taigenteikoku
Instaglam : @taigenteikoku
TikTok:taigenteikoku

現在の活動について教えてください。

私を含めて7人の劇団員と共に活動しています。
週に3回程度の俳優訓練をしつつ、1年に2回ある公演に向けての作品制作を行っています。
同時に再来年の公演の企画の打ち合わせも進んでいきます。

現在は、
6月8日(水)に名古屋市芸術創造センターにて上演する『ひとりぼっちのあなたへ
11月18日(金)~ 27日(日)に上演する七ツ寺共同スタジオ50周年記念公演『夢の肉弾三勇士』
の制作の真っ最中です。

いつから演出家になりたい、なろうと思っていましたか?

大学三年生の時に劇団を立ち上げたので、そのタイミングです。

体現帝国 白雪姫


超演出家とは、どういったものですか?演出家との違いや“超”がついている理由を教えてください。

全てではありませんが、日本において「演出家」と名乗る人の多くは「作家および演出家」です。そういった場合、作家性が強く演出家としての仕事をしていない人が多いように感じます。
自身の脚本を上演することで舞台を完成とし、脚本以上の世界を舞台上に立ち上げられていないのです。脚本を読めば十分でわざわざ舞台を観に行く必要の無い公演が世の中には多くあります。

体現帝国 女中たち

私はそうではありません。脚本を読むだけでは立ち上がらない世界を舞台上に立ち上げます。差別化の為に、敢えて超演出家と名乗るようになりました。

舞台演出以外にも多方面でご活躍されていますが、作品の制作で意識していることや苦労することなどございますか?

舞台演出を行う時は、私が中心に物事が進んでいきますが、それ以外のときは立場が逆転します。
そういった時は主催者が何を求めているかを理解して、それに沿った方向性でその主催者の想像を超えたことを提供することを意識しています。主催者の求める要求を越えられないのであれば、その程度の仕事は誰でも良いので2回目の依頼が来ることはまずありません。これは私が演出家である時、スタッフや出演者に求めることでもあります。

苦労することは、主催者の求める方向性が曖昧な場合です。
方向性が共有されていない状態で、何かを提出しても良い結果にはなかなか辿り着きません。

なぜ美大へ、名古屋造形大学へ進学したのですか?

高校生の頃、大学生になっても苦手な勉強をするのは嫌だなと思っていた時に、絵を描いてお金を貰えるってチョロい商売だなと思って美大を目指しました。
実際は、全然そんなことなかったです。

学生時代の学びで、今に活きていることはありまあすか?

先生に頼らないことです。
高校までは宿題など学校側に強制されて進んでいきますが、大学は違います。大人が何とかしてくれるなんてことは無いです。
自分で企画を立てて自分で進めていかなければ年月だけが過ぎていきます。

体現帝国 Gulliver-不安の島-


学生時代にこうしておけばよかったと思うことはありますか?

先生を使うことです。
先生をもっと使えばよかったなと後悔しています。

当時の自分に無くて先生達にあるものは、「コネクション」だと思います。自分の作品を先生の知り合いたちに売り込むように先生にお願いをすれば良かったです。

普段どんなモノやコトからインスピレーションを受けて作品を制作していますか?

舞台芸術に限らず、過去の有名な作品や歴史的な事件、最新のニュースなどから影響は受けます。大勢の人の関心を集めたモノには何かしらの引力があります。その引力は時代や国境を越えても人間に作用します。400年も前に書かれたシェイクスピアの戯曲が上演されるのは、その為です。

演出家にとって大切なことを教えてください。

早く決めることです。
大勢の人間を率いている立場なので、彼らに作品の方向性を早く示すことで制作期間が長くなります。方向性が決まらず作品制作に向き合う期間が少なければ良いアイディアが浮かんでも実現できません。制作期間が長ければ、作品はより成熟していきます。

今後の目標があれば教えてください!

劇団員と海外ツアー公演に行きたいと考えています。
海外ツアー公演へ何度か行ったことが私個人はありますが、劇団では行けていません。海外での経験はまた違った視点や経験を私にもたらしてくれて、楽しくて貴重な体験でした。今の劇団員たちと海外へ行き、自分たちの作品の評価を受けたいです。
その為にも今は劇団員を増やして作品力や資本力をあげています。

演劇に興味のある人は、是非体現帝国へ入団を検討してみてください。演劇は集団芸術ですので、俳優以外にも美術家や衣裳家、照明家や音楽家、デザイナーや写真家、映像作家など様々な芸術分野の人材を求めています。

体現帝国 Gulliver-不安の島-

最後に、後輩・高校生へ一言お願いします!

大学は自分の学びたいことを探求できる贅沢な時間です。学びの探求が評価にも繋がります。そして、同じ年頃で同じ芸術に興味を持つ人が沢山集まっている特殊な空間です。自分の作品の探求とそれを手伝ってくれる仲間やライバルにも出会えます。実際に、私は未だに大学時代の友人と共に作品制作を続けています。

この4年間をどう過ごすかで、その後の50年が全然変わります。
金払ってんだから大学を使い倒しましょう!