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学長からのメッセージ

あなたは芸術家です

 

美しいものを見て「美しい!」と言うのはほんの少しの勇気がいリます。「えぇつ、そうかなあ?」ともし言われてしまったら何だか恥ずかしいような気がするからです。

なぜ恥ずかしいのでしょう。それは「美しい」と言う時に、同時にそこにはあなたもそう思うでしょう?という問いかけが潜んでいるからです。いや、問いかけ以上に「お願い、そう思ってね!」というお願いの気持ちがあるからです。

「うーん、そうかなあ?」といわれると恥ずかしい、そう言ったのはイマニエル・カントという18世紀の哲学者でした。美しいと言おうとする俺はなぜ恥ずかしいのだろうと、カントは真剣に悩んだのです。こんなことに真剣に悩むなんて面白い哲学者でしょ。

でも、この恥ずかしいという気持ちにはとても大切なことが潜んでいる、そこにカントは気付いたのです。美しいと判断する、それは自分一人の内側でそう判断するだけではなくて、他の人に対するお願いの気持ちが 潜んでいるらしいということに気付いたのです。それは実は大発見でした。あなたと私は、今、同じ空問にいて、そして同じものを見て、同じようにそれを美しいと感じている。そのように感動している気持ちを「共感」と言います。カントはその共感の感情を発見したのです。そうなのです。「美しい!」と感じることは、同時に「共感」を求めているのです。

美しいと感じることは、自分一人の内側だけの感覚ではあリません。もし、あなたがこれ美しいね、と誰かに問いかけたとしたら、あなたもそう感じてくれたらとても嬉しい、あなたはそう言っているのです。

あなたは芸術家です。美しいね、美しいでしょう!と問いかける人です。そしてそれを分かってくださいとお願いする人です。共感を求める人です。なぜ恥ずかしいか、それをカントは発見しました。けれども芸術家の仕事はそこから始まります。恥ずかしいなんて言っていられない!私は今感動している、それを分かってほしいだけではなくて、分かってもらえるように自ら行動する、それが芸術家です。



名古屋造形大学 学長
山本理顕
2018年4月1日
教員詳細