環境自然文化特殊研究 11月10日(金)

陶芸家近藤精宏さんの作陶場(岐阜県瑞浪市半原)をお訪ねした。
のどかな農村風景が山間に残る。車を降りてみて。少し深呼吸。

ご自宅は茅葺の建物。小ざっぱりした作陶場に秋の日差しが深く差し込む。


二階には造形出身の娘さんの日本画。ツバキだろうか。

座敷に上がらせていただいて近藤さんの作品を、手に取らせていただき、
作陶のお話し、日本文化のお話、骨董のお話しを伺う。

床の間には現代美術作家の作品が軸に仕立てられている。

周りは紅葉が始まり、1本のヤマザクラからつるされたブランコに興じる。



すべてがインターネットでつながり、作品もコンピュータの中で作られる今日、
自然あふれる中で暮らし、作品を作り続ける姿を目の当たりにして、
不思議な懐かしい時間に出会えたように思える。
これからの時代どのようなライフスタイルを我々は選ぶのであろうか。
まだこんな暮らし方が残っていることをもう一度知る時間であった。
つくるためにあまりにも煩雑な世界との対応を迫られる今日、
改めて物を作るためのあるべき姿とはと考えざるを得ない。

次に訪れたのが、近藤さんが自らの作陶の人生を本にまとめられた記念の、作品展。
近藤さんが理事長を務められている、NPO瑞浪芸術館。
建築の設計は今大変人気のある中村好文氏である。
茅葺の農家をギャラリーに。室内の床は枕木が敷き詰めてある。
引率者岡田は以前ここで岡田の「インド アジャン・タエローラの旅」のスライド会を何年か前にしたことがある。

最後に臨済宗の古刹永保寺に立ち寄った。
土岐川の河畔近くの谷の底に建つ、夢想疎石の作庭の庭である。
国宝観音堂は無際橋と呼ばれる木橋がかかりこの橋でこの世とあの世が結ばれる。
あえてつくることをせずにそこにすでにあった岩盤から落ちる水の風景を庭とした。
禅の言葉に「残山剰水」という言葉があるがまさにその境地がここの庭にある。
入母屋造檜皮葺きの開山堂も国宝である。


河原へ降りてみた。
夕暮れが迫り少し肌寒さも感じられながらも、澄んだ水に身も心も洗われる様であった。紅葉が美しい。
今日1日は、懐かしい時間の中への旅であった。

引率責任者 岡田憲久

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