3月14日(木)晴れ

実技入試の会場に私はいた。
油絵を描き始めた。
画面に自画像を入れなければならないという課題だ。

エスキースを重ね構図を定めてゆく。
キャンヴァスを横位置に置き、砂時計のような真ん中がくびれた形をデフォルメして上部に自画像を配した。黒縁の眼鏡をかけてこちらを見下ろしている表情だ。
構図が決まり、下塗りをしてゆく。油抜きをした数色の絵の具を薄く塗り、乾かしているうちに更にエスキースを重ね、構図を練り上げてゆく。

少し洒落た洋風の窓格子を配してみてはどうだろう?
よし、これで行こう。

その時、後ろの席の女子受験生たちの私語がうるさいことが気になり始めた。
注意したところ逆にののしられ、言い合いとなった。
いい年をして遙かに年下の子供たちに本気で声を荒げている自分が少し恥ずかしく思えてきたので、また作画に集中する。

「結構行けるんじゃないか!」
・・・と思ったところで目が覚めた。

久し振りに受験の夢を見た。
描いていた画面は今でも細部まで思い出せる。
少し重い気分で起きて一日が始まった。

午前9時に出校
午前中は事務的な仕事をしたあと、4月から赴任される予定の先生と打ち合わせ。

午後1時からは定例の教授会。
議題は多くはなかったが、学長報告に時間を割いた。

その後、入試委員会。
委員会が終わると日が西に傾きかけていた。

どんどん太陽が降下し(実は地球が自転しているのだが)、今日も暮れてゆく。

明日の卒業式のための準備をしているうちに昼と夜の風景が交代し始め、

上限の月がくっきりと姿を現した。

気が付いてみたら時計の針は午後11時を差し始めているので、急いで帰った。
明日は卒業式だ!