11月15日(日)曇り のち 晴れ

朝はまだ小雨がチラホラしていたが、お昼頃からはまさに”小春日和”というのに相応しい、ポカポカと暖かい、穏やかな日となった。

朝、高速バスで伏見町へ。
白川公園を通って、
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玉が挟まっているのを確認して、
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名古屋市美術館へ。

絵画修復家で吉備国際大学大学院・文化財保存修復学研究科教授の大原秀之氏によるキーファー作品の修復を観に行った。
修復されている作品はアンゼルム・キーファー(Anselm Kiefer 1945 – )の「シベリアの女王(Princess of Siberia:1988)」

キーファーはデュッセルドルフ・クンストアカデミーでヨーゼフ・ボイスに学んだアーティストで、現代を代表するアーティストの一人だ。
大原氏は修復の専門家で、デュッセルドルフ市立修復センターの修復家としてガラス工芸品、近代現代美術修復を担当され、後に近現代美術主任修復家となられた方だ。

修復に携わっている大原氏にはデュッセルドルフに居たときにお目にかかったことがあると思うが、記憶が定かではない。見た目もきっとお互い変わっていると思うので、確信が持てないが、ただ、修復にまつわるお話の幾つかは、直接伺ったのか間接的に聴いたのかは忘れたが、強く印象に残っている。

記憶している話の一つは、とある著名な現代アーティストの作品の修復に当たった時、どうしても塗料の色が上手く合わない。そこで、作家に直接聞いてみたところ、ホームセンターで売られているポリバケツ入りのいちばん安いアクリル塗料だったとか。

特に学生時代や駆け出しの頃の作品であれば、安い塗料しか使えなかったのも理解できる。そこのところも、その作家の時代背景を考える時、ひとつのリアリティになっているのではないだろうか。

現代美術作品の修復は作家との直接のやり取りを経験していることが非常に重要であり、その意味でも、大原氏の存在は大きい。

修復作業を拝見していると、非常に身体や眼にキツそうな作業だということが分かった。さらに美術上の知識のみならず、化学的知識も当然必要であろうし、また、経験の積み重ねが欠かせないことを考えると、あらためて、大変なお仕事なのだと感じた。

お仕事の合間にお話をさせていただき、あらためて、お話を伺う機会を作ることとした。次回、お目にかかれる日が楽しみだ。

その後、東別院に移動。
いつの間にか空は晴れ渡り、本当に暖かい。

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今日は名古屋造形大学公開講座が東別院ホールで開催される。
今日の講師はジュエリーデザイナーの松崎マナさん。司会・進行は名古屋造形大学専任講師の齋藤久仁明さんが担当される。

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松崎さんは立教大学法学部在学中よりジュエリーメーキングを学び、同大学卒業後、KIDIパーソンズ・プロダクトデザイン科修了。2001年ニューヨークに渡米。Parsons The New School for Designプロダクトデザイン科を経て、F.I.T.ニューヨーク州立ファッション工科大学ジュエリーデザイン科を卒業された。

ニューヨークに滞在中、アメリカ自然史博物館で見た様々な生き物の骨格からインスピレーションを受け、「生命の痕跡」をテーマにしたオリジナルブランド「ラトレイア」を2006年に発表された。

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「今回は『らしさ』の追求で見えたもの」との講座内容で、お祖父様、ご両親のお話から始まり、ご自身の今に至るまでの歴史が語られた。在米中に”出来が良いが誰の作品か判らない”作品から”スマッシャブル”な(つまり砕かれても断片から誰の作品か判るような)作品へと変貌を遂げる過程での、先生の指導、そして松崎さんご自身が古代生物の化石や骨から閃きを得る過程を非常に興味深く聴かせていただいた。このお話は講演を聴きに来ていた学生達へも、強いメッセージとなったはずだ。

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松崎さんの講演は単に自作の紹介にとどまらず、デザインとアートの違い、それに、具体的にデザイナーの作品例を挙げての「どこまでもクライアントに沿うタイプと、自分の世界を表出した上で(であるからこそ)クライアントからの評価を得るタイプがあること」についても分かり易くレクチャーしていただき、私自身も大いに学ばせていただいた。「らしさ」とは何か、これからデザイナーを目指す学生にも良い刺激を与えていただいたと思う。

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講演後、ご主人の島田隆信氏とご一緒のディナーの席でも話は大変盛り上がり、ご主人の英国や北欧でのお話など大変興味深く聴かせていただいた。
松崎さんも学生に語ってくださったが、出来るだけ若い人は海外経験をし、自分の世界を広げてほしいと心から思う。

今日は充実した日曜日だった。

帰宅するとウニが丸まっていた。
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う、・・・目がこちらを見てる。
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