今日は三重県の中学・高校の先生方を大学にお迎えし、幾つかの授業を体験していただいた。
まずは私の授業「絵画と写真をつなぐブラックボックス 〜カメラオブスクラ〜」。
※ カメラオブスクラとは「暗い部屋」という意味のラテン語で、この”カメラ”つまり”部屋”という言葉が残って今日のカメラという名称になった。
昨日作った暗室に案内するところから授業がスタート。
カメラオブスクラの中に入る体験だ。
これは外から見た写真スタジオ。
完全に遮光し、遮光板に小さな穴がひとつ開けられている。
部屋を暗くして、木枠にトレーシングペーバーを張ったスクリーンをかざすと、こんな倒立像が映る。
窓の外の景色が針穴を通ってスクリーンに投影されているのだ。
ここから写真への長い道のりが始まるのだ。
授業では絵画の歴史と絵画補助具について解説しながら、カメラオブスクラが果たして来た役割について話をし、最後にごく簡単なカメラオブスクラを製作する。
完成したカメラオブスクラを覗いていただくと歓声が上がった。
皆さん本当に喜んでくださって、授業のし甲斐があった。
午後にはグラフィックデザインコースの東仲先生と美術とデザインについて語る授業。
幾つかの言葉や映像を提示しながら、筋書き無しの授業を行ったのだが、いつの間にか関西弁のやりとりとなっていた。
「そうやん、東仲せんせも兵庫県出身やん!?」
最後はデジタルメディアデザインコースの外山先生の授業を受けていただき、先生方には一日楽しんでいただけたものと思う。
私たちも楽しく授業を行うことができて大変うれしい。
さて、学内D1ギャラリーではプロダクトデザインコースの「3年生展」が開催されている。
「各自が育ててきたイメージを大切に、テーマを支えるコンセプト、それを実体化するための手法・素材・技術などを教員とともに模索してきた。」と解説されていたが、開発プロセスと課題推進のための自己管理能力を身に付ける、という趣旨がよく反映されている展示だと思った。
これは「キッズ用カッターナイフ」の課題。
市販のカッターナイフの基本構造や機能を分析し把握することから始め、幾つかの過程を経て、最終的にはポートフォリオを作成しプレゼンテーションを行う。
こちらは3Dプリンタを使ってスマホのカバーをデザインするという課題。
ここでもアイデア抽出から様々な過程を経て製品展示へと漕ぎ着ける。
「家具のデザイン」では木工の実製作を通してデザインから作品製作までのプロセスを習得することを目標としている。
すぐに製品化できそうな作品もあり、感心しながら見させていただいた。
この展覧会は8月8日(金)まで。
夕方、名古屋へ移動。
小牧は雨模様だったが、名古屋に着くと青空が見えた。
今日は佐渡裕指揮 PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)オーケストラの名古屋公演。
曲目はバーンスタインの「キャンディード」序曲、チャイコフスキーのロココの主題による変奏曲、そして、ショスタコーヴィチの交響曲第5番。
ショスタコーヴィチの交響曲第5番は佐渡裕さんがベルリンフィルデビューの際に指揮した曲だ。
演奏は一言で言うとエネルギッシュ。
プロの一流オケのようなアンサンブルの精度や個々の奏者の表現力は望めないが、まだ発泡している新ワインのような、多少生っぽいが素直な力強さを感じた。
佐渡裕氏も、この若い人たちの短所を抑え長所を引き出そうとされているように感じた。
ロココの主題による変奏曲も、アントノフさんのチェロの美音を楽しませていただいた。
それにしても、やはり生の演奏は良いものだ。