9時半に大学へ、宿題の続きをやり、お昼すぎに高速バスで名古屋へ。
いつもの桃花台バス停、まだ夏の景色。
2時半からセントラル愛知交響楽団のコンサート。プログラムはディーリアス「二枚の水彩画」、続いてロドリーゴの「アランフェス協奏曲」、最後はメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」、ギターは谷辺昌央、指揮は高橋直史。しらかわホールだ。
小編成のオーケストラでありながら決して響きが薄くならないところがドイツに本拠を置いて活躍されている高橋さんの影響力かと思う。また、オーケストラを萎縮させず音楽の大きな流れを作っているように思えた。高橋さんは演奏家の長所を活かして音楽を作り出すタイプと感じた。
アランフェス協奏曲は初めて生で聴いたが、ギターとオケのメロディーの受け渡しが面白かった。ギターの音楽って理性で統御できないような情緒的なものを感じるのだが、その実、完璧にコントロールされているんだろうな、と思いながら聴いていた。谷辺さんの演奏にはまさに理性的にコントロールされた情熱を感じた。今まで知らなかったギター音楽の魅力が少し分かってきたように思う。
メンデルスゾーンの交響曲第3番は、CDであまり聴かないメンデルスゾーンの作品の中では弦楽八重奏曲とともに比較的聴く機会が多い作品だ。この交響曲第3番、今回の演奏を聴いていて少し目から鱗が落ちたように感じた部分がある。
この交響曲の第四楽章終結部は少し取って付けたような印象があり、いつもなにかしっくりこないものを感じていた。実際、クレンペラーは全く異なる終結部を(勝手に)くっつけた演奏の記録を残している。
今回「なるほど!」と思ったのは、この交響曲の楽章が連続で演奏されることを考えると、この部分は第五楽章的な位置づけであり、曲全体の終結部なのかな、ということだ。第四楽章の終結部と考えると違和感があるが、こう考えると妙に腑に落ちた。
今日は本当にすばらしい「スコットランド」を聴かせていただいて、この曲に更に興味が湧いた。
演奏終了後、打ち上げの席にお邪魔させていただき、高橋さん、谷辺さんとゆっくりお話させていただいた。
高橋さんとのお話で面白かったのは、湿度が高い日本では音が鳴りにくいということ、その話から気候風土とオーケストラの音色の違いの話になった。その地域に根ざした独特の音色のオーケストラも少なくなり、世界のオーケストラの個性があまり無くなっていることは残念なことだと思う。
今日は、このところの疲れが癒やされた一日だった。このような話ができる時間が一番うれしい。
高橋さんは名古屋造形大学の高北先生の高校・大学の同期生の方の息子さん。そのご縁で今回初めて聴かせていただくことになった。
高橋さんは名古屋の旭丘高校出身、東京藝術大学指揮科卒業、大学院を修了され、国際ロータリー財団の奨学生としてミュンヘン音楽大学大学院指揮科を修了、文化庁派遣芸術家在外研修員としてバイエルン州立歌劇場で研鑽を積み、現在、ザクセン州エルツゲビルゲ歌劇場音楽監督および同交響楽団の主席指揮者として活躍されている。
谷辺さんは高橋さんの旭丘高校での1年後輩。東京大学在学中に東京国際ギターコンクールで首席入賞。1999年からドイツ、ケルン音楽大学に留学し首席卒業。その後、多くの国際コンクールで優勝。2005年、ワシントンDC、ケネディセンターでアメリカデビュー。ニューヨークでのコンサートも大成功を収めた。ドイツ、スペイン、ブラジルなどのオーケストラとの共演をはじめ世界の舞台で活躍。2011年からは活動の舞台を日本に移され、活動を本格化させている。
9月8日(土)には宗次ホールでリサイタルを開催。ゲストでメゾソプラノの大橋多美子さんが出演される。
満ち足りた気分で自宅へ。