7月18日(火)晴れ

大学でハードディスクを整理していたら懐かしい写真を見つけた。
IIK 03.08.26

2003年の8月、ドイツ、デュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学(Heinrich-Heine-Universität Düsseldorf)で、ドイツ語の夏季講座を受けていたときの写真だ。
この時、急に思い立ってドイツ語力を高めようと3週間の講座を受けたのだ。

ドイツ語力はさほど無いのだが、最初のクラス分けの試験で良い点を取ってしまい、一番上のクラスに入れられた。このあたりが日本人的なのだが、筆記試験に強いタイプなのかもしれない。

周りは十代の人がほとんどで、最初はさほど差を感じなかったのだが、その後の上達度が全然違う。3週間後、彼らの進境は著しく、ほとんど変化の無い自分との差をヒシヒシと感じたのを覚えている。才能の違いなのか脳の年齢の差なのか分からないが、ひどく打ちひしがれた。

写真を見るとかなり痩せているが、この前年の秋に椎間板ヘルニアを患い、入院している間に体重が10kg減ったのだ。このときは、まだ一生懸命キープしていたのだが、その後はユルユル…
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私の後ろに座っている白いシャツの男の子はたしか16歳か17歳の日本人の子で、地元生まれ。地元弁で先生と喋るくらいなのに、キチンと言葉を学び直したいとかで講座を受けていた。彼の隣に座って「先生何って言ってんの?」なんて、時々教えてもらっていた。

私の真後ろの男性はイエメンから来ていて、本当に気の良い人だったが、ある日、話の流れで、先生が「それじゃ君は豚じゃない?」と冗談で私に言ったところ、彼がやにわに「先生、私の国でそれを言ったら直ぐに殺されます。」と切り返した。先生はフリーズして顔が引きつっていた。※ 私の斜め後ろのメガネの方がその先生だ。

かつてマンハイムのゲーテ・インスティトゥートでドイツ語を学んでいた時には、先生から「政治の話と宗教の話は厳禁!」と言われていたが、この時は、むしろそのような話も進んでするように促された記憶がある。随分、考え方が変わってきたのだと思ったが、今はどうなんだろう…?

東欧諸国から来ていた方が多かったが、みんな今ごろどうしているのかな?

そうそう、この年のヨーロッパは猛暑で気温は40℃に達することも多く、死者が出るほどだった。ただ、間借りしていた部屋は半地下の素晴らしい部屋で、本当に涼しく、羽毛布団を羽織ってちょうど良いくらいだった。

家主さんはドイツ系のポーランド人で、非常にドイツ的な几帳面さを感じさせる方だった。私の服や下着も全部洗濯してくれるのだが、学校から帰ったらベッドの上に、すべてキチンとアイロンをかけてきれいに畳んで置いているのだ。もちろん、下着まで! 部屋は隅々までチリひとつ落ちていない清潔さで、まったく感動した。

3週間の講座の後は、名古屋造形大学の国際交流展”TRANSIT”開催のために日本から来られた先生方と合流し、オランダのフローニンゲンのアカデミー・ミネルヴァ(Academie Minerva)で学生の作品展を開き、各地の展覧会を観て回るなど、充実した日々を過ごした。

あれから14年が経とうとしているのか…

さて、今日は特にいつもと変わったことが無かった。
なんか14年前に思いを馳せていたら、今日のことはどうでもよくなってしまった。