午前中に、あいちトリエンナーレに向けての芸術大学連携プロジェクトの一環として名古屋造形大学の卒業生の若手アーティストたちが出品している展覧会”Don’t go to hell! Go to hill! and pick up a flower!”を見に行った。会場はアートラボあいち大津橋。アートラボあいち長者町の方は昨日までで終了となっていて、残念だが観ることができなかった。
出品作家は、大杉好弘(大杉さんのみ卒業生ではないが、非常勤講師としてご指導いただいている)、小粥(おがい)幸臣、鈴木雅明、佐野友美、堀口葵、山本祐理子の6名。
会場は以前も紹介したが、1933年(昭和8年)の建物で、外観・内部ともに大変雰囲気がある。
今回の出品者は1981年から1992年に生まれた若手作家たちだが、在学中から積極的に作品発表を続けてきた人たちで、観る度に作品が展開し、それぞれの世界を着実に作り上げてきていることがわかる。
(山本さんの作品:抹茶と御座が使われていて、抹茶といぐさの香が部屋に充満している)
(堀口さんの作品:素材感への彼女ならではの視点が感じられる)
(佐野さんの作品:区切られた空間に”海辺のメモリー”が展開する)
(小粥さんの作品:今回は陶器、絵画、ドローイングなど多様な表現が展開する)
(大杉さんの作品:玩具など、そこにあるものと、旅先での写真など、そこにないものが1枚の絵画の中に立ち現れる)
(鈴木さんの作品:ここ1〜2年のうちにスタイルが大きく変化した作家の一人、観葉植物が触媒となって”内と外”の世界が併存する)
7月22日のブログでも紹介したが、大杉さんと鈴木さんが、この夏、noivoi で開催した展覧会”鈴木雅明・大杉好弘 二人展 -framing-”では、両作家の作品が壁面に入り交じるように展示されていて、二人の共通の感覚と相違点が立ち現れたり消えたり、それぞれの特質が際立ちながら調和していて、大変興味深い展覧会だった。
今回の”Don’t go to hell! Go to hill! and pick up a flower!”は非常に見応えのある展覧会となったが、作家を選考し展覧会を取りまとめられた名古屋造形大学の平林薫教授のお力には敬服する。このように、卒業後の作家たちをきちんとフォローして育て上げることも大学の大きな役割であり、それを実践されていることは本当に素晴らしいことだと思う。
この”アートラボあいち大津橋”の展示は明日(11/23 祝)が最終日。明日はあいちトリエンナーレ2016キュレーターの金井直氏を招き、平林教授の司会進行でトークイベントが行われる。
時間は15:30 – 18:00、第一部では「ヴェネチアビエンナーレ2015研究報告」、第二部では出品作家を交えてのアーティストトークが行われる。
また、この展覧会の学内での展示は、11/27(金)まで、名古屋造形大学D1ギャラリー、D2ギャラリーで開催されている。出品作家は大杉好弘、鈴木雅明、茶谷麻里、長瀬崇裕、前田真梨恵、松永美穂、丸山ナオトの7名。
大津橋の展覧会を観た後、徒歩で愛知芸術劇場コンサートホールへ。
今日は名古屋市民管弦楽団のコンサート。
以前にも何度かこのブログで紹介したが、このオケには私の高校の先輩がヴァイオリンで参加しているのだが、彼女にとっては今日は最後のコンサート。今後は小編成のコンサートに絞るとか。
今日の演目はグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、ラフマニノフの交響曲第2番ホ短調。指揮は藏野雅彦氏。
最初の「ルスラン」はかなりの難曲だと思うが、練習をミッチリと積んでこられたことがよく分かる立派な演奏、そして「仮面舞踏会」も楽しめた。ラフマニノフは1時間を越える大曲だが、奏者の方々が最後まで緊張を切らさず集中されているのがよく分かった。聴いている方もグイグイと引き込まれてゆく。
プロのオケと比較するのは酷だと思うが、それでもこのオーケストラの力はスゴイ! 今回はさらにレベルアップしていると感じた。適当に流すプロの演奏よりもずっと音楽的で、楽曲の魅力がしっかりと伝わってくる。
ラフマニノフの交響曲第2番は普段それほど聴く曲ではないが、全体に美しいメロディと響きが充満していて、なんともゴージャスな音楽だなとあらためて感じた。独墺系の音楽はどこか”求道的”な部分が感じられるが、そのようなものはカケラも無く、全編美味! 一流のシェフが腕をふるった美味しい料理が次々とやって来る感じ。
コンサート終了後は、出身高校の同窓生の皆さんと一杯やって帰宅。
ゴージャスな日曜日が終わった。