5月5日(土)こどもの日 晴れのち曇り

今日は少し蒸し暑い日だった。
まず、名古屋市民ギャラリー矢田で開かれている「460人展」を観た。


ちょうど、”体現帝国”によるパフォーマンスが行われていた。熱演だった。

この展覧会は名古屋造形大学の洋画の大学院生が中心になって企画・運営している。発端は2008年の99人展、今回は298人展を目指したが参加希望者が増えて460人展になったとか。本当に企画者の方々のすばらしいエネルギーに感服。
それにしてもこの展覧会は通常の展覧会とは大きく異なる。ある批評家の方は「ネット的な展覧会」とおっしゃっていた。たしかに通常の展覧会のように企画者がある意図を持って”仕分け”していない。ある程度配分は考えられているように思えるが、テーマによって分類されているようには見えない。その意味では、観る側がある程度自分の考えに基づいて頭の中で整理して観て行かなければならない(そうしなければ”眺めているだけ”になってしまうだろうし、人間は必ず”整理・分類”してしまうものである)。そこで、観る人によって作品の”つなげ方”が大きく異なるところがネット的なのかもしれない。

しかし、別の意味で、私は”怖い”展覧会だと思った。ギャラリーに入った時に一度に目に入る作品数は数点に留まらない。20点くらいいっぺんに視界に入ってくる。そして、ざっと見回して目に引っかかる作品と”その他”となる作品がある。そう、これはほとんど予備校や大学の講評に似ている。そして目に引っかかる作品が若手の駆け出し作家で、その他大勢の中に実績のあるベテラン作家の作品が含まれていたりする。もちろん、じっくり一点ずつ見直して行くと、私の頭の中でそれぞれの作家の過去の作品記憶とつながり安心感が広がる。…が、若干、その作家のイメージは変質してしまっているかもしれない。そう、みんな素っ裸なのだ。・・・こわ~い!

批評家や学芸員も作品を出しているが、彼らが表現者としての姿を見せてしまうことでその人のパースペクティブやこだわりが見えてしまう、かなりハッキリと。・・・これも怖い!
そして、その怖いところが面白い! 私にはそれぞれの作品を観ることよりも、この展覧会の全体の姿が面白い。また観たい!


矢田を後に犬山に向かった。
キワマリ荘はかつてアーティストの有馬かおる氏が住んでいたアパートを展示空間にしたところからスタートした。現在は五っ葉文庫の店主古沢和宏氏が四代目の管理者となっている。アパートの外観はかなり”古風”だが、中は奇麗にリニューアルされている。

キワマリギャラリーBでは”トヨダカエ個展”開催中。なぜかバレンが散らばっていた。

キワマリギャラリーAでは”みぞぐちともや個展”開催中。いろんな珍獣のイラストが・・・

与太庵 ポプラムネ は主の伊藤文一氏のこだわりの本やCDなどが集められた空間。訪問者にはここでじっくりと時間を過ごしてほしいそうで、お邪魔なら”主”は退散されるそうだ。

トイレ(というよりは”お便所”かな??)を改造したキワマリギャラリー mini は以前の姿を彷彿とさせる形状の床が特徴的。現在は大平隆文氏の個展開催中。大平氏は名古屋造形大学総合造形コース(現コンテンポラリーアートコース)出身の作家。

ショップでは作家の小品等が販売されている。私は”夜子”作の”追憶の蒐集”二点を購入。夜子さんのアーティスト名は近藤サヨコ。人形を使ったアニメーションを作る作家で名古屋造形大学総合造形コース卒業。

現管理者の古沢和宏氏も名古屋造形大学総合造形コース卒業生で、「痕跡本のすすめ」で有名になり、テレビにもしばしば登場している。彼は在学時代、いつもしつっこく食い下がってくる学生だった。その”面倒くささ”が私は多いに気に入っていた。彼との論争は徹底していてお互い簡単には引き下がらなかったが、今思い出すと本当に面白い時代だった。あの頃の学生は骨のある奴が多かった!

古沢和宏氏が店主を務める五っ葉文庫は、誰もが普段抑圧している深層心理に働きかけてくるようなコレクションが特徴。ここで本の背表紙を見ているとふと深みにはまりそうな恐怖と快感が・・・
今回はイラストレーターの浅生ハルミンさん(名古屋造形芸術短大の卒業生)の「三時のわたし」を購入。これはフツーの本。

古沢氏と話しているうちに犬山忍者道場の師範”疾風の刃”氏が来訪、この道場は手裏剣打選手権大会という全国大会の予選会場にもなっているとか。三人であれこれ話しているうちに上の階からポプラムネの伊藤文一氏も下りて来られて、話が盛り上がった。残念ながら私は話の途中で失敬したが、歓談の声はキワマリ荘の外へも響き渡っていた。また来よう!