12月8日(月)晴れ

12月8日は私には二つの意味で特別な日だ。
一つは言うまでもなく日本が米、英と戦闘状態に入った真珠湾攻撃の日であり、もう一つは、ジョン・レノンが殺害された日だ。

1941年12月8日未明(日本時間)日本海軍はハワイオアフ島の米海軍基地に対して奇襲攻撃を行った。その後の日本がどのような道を歩んだかは言うまでもない。

1980年12月8日の夜(日本時間では12月9日 )、ニューヨークのアパートの前でジョン・レノンは4発の銃弾を受けて死亡した。世界は素晴らしい一人のアーティストを失い、犯人は今も服役中だ。

両方に通じるのは”暴力”を手段として選んだということだろう。そして自分が正しいと信じ、解決のためにはこの方法しかないと信じ込んでいたことだ。

物事の解決には多様な手段が取りうるにも関わらず「これしかない」との思いに囚われることが最も危険だ。また、自分の置かれている位置を相対化して見ることができなくなったとき、判断を誤ることになる。

争いとは「正しい」と「正しい」のぶつかり合いであり、決して「正義」と「不義」、「善」と「悪」との対立ではない。「世のため人のため」という考えが視野狭窄を伴うときが最も危険だ。

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D2ギャラリーでは、本日から横浜黄金町で展開してきた名古屋造形大学黄金町サテライトスタジオでの活動報告展が始まる。
期間は本日から12月19日(金)まで(土・日休廊)
時間は9:00〜17:00。

個々の作品については詳しくはコメントしないが、総じて、ドイツ側の作品と日本側の作品は作品の捉え方が異なっているような気がする。どちらが良い悪いということではなく、ドイツ側の作品にはロジックが背景にあり、しかもクリティカルな意識がベースにあるように思われる。それに比べて日本側の作品はもっとおおらかで感覚的だ。
双方の違いが面白い関係を生じさせていて、そこにアートの幅広さと今後の展開の芽があるように思うのは私だけだろうか…?

木村充伯氏の作品。黄金町でのスケッチが記録されたノート。
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ドイツ学生の作品。
日本の生活は都市の騒音など、ドイツ人学生にとってはストレスフルな一面があったようだ。
カメラを覗くことは、ある意味、そのような環境の中でシェルターに入るような効果があったようで、その結果が、この小さなフィルムケースの作品となった。この中にはノイズとストレスが詰まっているのかも…??
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ドイツ学生の作品。
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学生がこれを着てヘアカットを行っている記録写真がある。

これらの作品は黄金町サテライトスタジオで行われたパフォーマンスに基づいている。残年ながら私はそのパフォーマンスを見ていないので、正確に作品の背景について語ることはできない。

リズ・バッフバー先生の作品。
この”あきたこまち”もリズ先生の作品のうちなのだろうか??
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これはどことなく痛々しい。
どのようなパフォーマンスが行われたのかは知らないが、煉瓦の上に乗っているのは花びら(後に日比野先生からご指摘があり、鱗かも…)。
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これはマスクに血がにじんでいるように見えるが、日の丸にも見える。
タイトルの”Entsprich”は”Entsprechen(添う、応じる)”の命令形(丁寧ではない言い方でもあり、親しい人への言い方でもある)。
ちなみに”entsprechen”は”ent(分離を表す接頭語)”と”sprechen(話す)”という動詞が結びついた言葉だ。
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政治的な意味合いを持つのか、あるいは、日本人の特性を表しているのかは分からないが、色々な意味で日本についてよく知っている学生の作品だろう。

これは「ありがとう。でもビニール袋はいらないわ」という作品。やたらとビニール袋に入れる日本のお店はドイツ人から見れば不思議に映るのだろう。ましてや、そのビニール袋がそれほど必要なくすぐ捨てられてしまうとしたら、ドイツ人にとってみれば我慢ならないことかもしれない。”もったいない”の感覚はドイツ人の方が多く持っているように感じる。
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“天竺”のユニットは、名古屋造形大学のレジデンス・アーティストの中で最も黄金町の地元に馴染んだ二人だろう。
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天竺の楊さんが大岡川でのハゼ釣りにはまっていたと聞いたが、この竿で釣っていたのかな??
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このペットボトルと割り箸で作ったものはリールの役割を果たしていたようだ。
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ある意味、その場所で生きて行くことに密接に関係のある作品としてのリアリティを持っているようで、非常に存在感のある”竿”に感じた。どこか作品としての風格がある。

この”戦艦ミズーリ”上で日本の全権代表が無条件降伏の文書に署名する場面に立ち会っている三蔵法師が何をしているのかと思ったら、土偶や骸骨の焼き物を売っている。このシーンは”何で??”という印象だが、妙に馴染んでいるのがおもしろい。天竺はどこにでも馴染めるものを持っているのかも…??
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天竺の設楽陸氏の作品。
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天竺の楊珪宋氏の作品。
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レジデンス・アーティストの平野真美氏の次の作品プラン。黄金町ではでっかい”胃”を展示していた。
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あれあれ、いつの間にか結構解説してしまった。

ギャラリーを出てみると、キャンパスでは黒鉄黐(クロガネモチ)の赤い実が沢山なっていた。
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青い空とのコントラストが鮮やか!
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蘖(ひこばえ)がかわいいね!?
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今日のお昼は7品目(1.玉ねぎ、2.人参、3.ピーマン、4.大根、5.大豆、6.ひき肉、7.れんこん)のキーマカレー、豆腐サラダ付きに小鉢と持参の納豆を付けて栄養バランスばっちり!
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夕方、大学を出て桃花台バス停へ。
大学が遠くに見える。
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街灯も正面から見るとけっこう味があるかたちしてるな〜
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真下から見ると…
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ん〜、なかなかいい!

バスに乗って名古屋へ。
街はすでにクリスマスの雰囲気。
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夜更けて帰宅。
12月8日が暮れてゆく。