断面を組みなおす ー 岡崎に暮らすこと、その輪郭をつくる建築 ー


私の生まれ育った岡崎の住宅地・中心市街地は、とても起伏に富んでいます。子供の頃から斜面を登って遊んだり、生活する中でも高低差・断面を感じたりする、微地形の風景や活動が沢山ありました。その原風景ともいえる細やかな断面が、川の氾濫防止や車社会の加速、開拓のために造成され変化してしまった今、改めて岡崎の断面を組み直し考えることで、岡崎のまちにこれからの豊かな居場所を作ることを、様々なスケールで提案します。地形に応答するように断面を組みなおす事でまちの風景をなるべく残しながらも、建築の在り方の可能性を増やしていくだけでなく、居心地の良い空間がこのまち全体に広がる事で、まちとしての魅力が向上していくことの願いをこの設計に込めました。
地域社会圏領域 尾崎 菜々莉 Ozaki Nanaha
担当教員コメント
愛知県、岡崎市の中心市街地とその背後に広がる住宅地、その起伏のある山のようなエリアを舞台に、地域全体をより豊かにするための提案です。自然の地形も人工的な建物・擁壁などの構造物も、すべて「断面」として測量・観察し、その全体を俯瞰したうえで「断面性」の魅力を岡崎らしさとして再構築することで、住宅や公共空間、ランドスケープ、大きな空きビルの刷新など、さまざまな状況・スケールに軽やかに介入していきます。「断面」は、建築設計の手法としてとてもスタンダードかつストレートな切り口です。それを真摯に徹底して描いた凄みと、それを積み重ねた結果たどりつけた独特かつ説得力のある設計手法が素晴らしい作品です。