あなたの「知らない」まちのこと。 {2026年 桂冠賞作品}
今までの経験の集大成として、地元である愛知県一宮市の「一宮せんい団地」で取り組んだエリアマネジメント。
世界三大ウール産地“尾州”における繊維の商業団地として1970年に誕生し、今では忘れ去られつつある地域。決して廃墟などではなく現在でも建物が現役で稼働して機能しており、ここで活動する人々や場所、歴史そのものなどの様々な魅力から「この街は生きている事」を伝え、自分も当初持っていた「せんい団地」に対する偏見と実情のギャップを埋めたいと考え奔走した。
現地の方々の協力のもと、 ①初の広報物となる公式フリーペーパー「ITORI」の制作と発行 ②広報部「ソラマドミドリ」設立参加&大型マルシェイベント「渋ビルさんぽvol.7」での企画運営に携わる ③ドキュメンタリー映像に3Dプリントで制作したジオラマを使用したプロジェクションマッピングを合わせた展示 といった3段階を行い、この街を「知らない」人々に向けた発信を行った。
情報表現領域 田畑 智稀 Tabata Tomoki
担当教員コメント
田畑智稀の「あなたの『知らない』まちのこと。」は、地元“一宮せんい団地”に対する再発見のプロセスを、長期的な実践として結実させたエリアマネジメントである。
衰退の印象が先行する地域に対し、彼は外部から価値を与える立場ではなく、一人の地元出身者として足を運び、対話を重ねながら関係を築き直した。フリーペーパー『ITORI』の発行、広報部の設立、マルシェ企画・運営、模型と映像展示へと展開する一連の活動は、まちの魅力を可視化するだけでなく、人と人との関係性を編み直す実践でもあった。
とりわけ印象的なのは、彼をあたたかく迎え入れ、挑戦を後押ししたせんい団地の人々との信頼関係である。その相互作用が活動を持続可能なものとし、地域の内側から価値を掘り起こす原動力となった。個人の情熱と地域の受容が重なり合うことで、まちは「知らない場所」から「語り継ぐべき場所」へと更新されたのである。

