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いのちのまなびや

「育てる・作る・食べる・つなぐ」という食の一連のプロセスを地域にひらき、子どもから大人までが食育体験を通して命の重みと感謝を学ぶ“命の循環”の場を提案する。
食べることは命をいただく行為である。しかし現代では、生産の現場や廃棄の実態が見えにくくなり、食は消費として扱われがちだ。大量の食品廃棄や近隣給食センターの事故を、農家で育った自身の原体験と重ね合わせ、分断された食の背景を「食」「場」「材」の視点から結び直すことを試みた。
本計画では、敷地内に田畑や調理、食育の場、堆肥化の仕組みを一体的に配置し、食の循環を体験として可視化する。さらに、生産、調理、食に関する廃棄物を活用した素材・建材化の研究を実際に行い、そのマテリアルを建築に組み込むことで、ランドスケープと建築自体が循環に関わる構成とした。食べることを「消費」から「参加」へと転換し、命に触れる感覚が日常に根づく社会の姿を描く。

空間作法領域  杉江 花緒 Kao Sugie

担当教員コメント

以前より「教育」に関心のあった作者が、近隣で発生した給食センターの事故と廃業をきっかけに「食育」に関心を持つようになったことは必然であったのかもしれない。命をつなぐ食という繋がりを、生産から調理と食事、そして廃棄物の活用まで、ランドスケープから建築デザイン、インテリア空間や素材へと転換していき、最終的に来訪者を含めた一体化された「命の循環」を完成させたことを高く評価する。
制作中、食の問題のリサーチや地域調査を丹念に行い、環境へ配慮した建築と素材とは何かを探し求めていた。試行錯誤と実験を繰り返し、そのうえで辿り着いた計画は壮大で緻密、スケール感を厭わない模型表現と素材の現物展示は他を圧倒していた。彼女の知性と努力、感性が今後の社会で活かされることを期待したい。