五感の交感


コロナウイルスや情報化の普及、 都市化など、 様々な社会状況から現代のわたしたちは自然に触れ体験する機会を失い、 感覚が鈍くなりつつあります。 この計画では本来人間の持つ感覚である五感に着目し、 自然に触れることで「五感を研ぎ澄ます場」を提案します。 計画地は、 岐阜県郡上市大和町。 美しい河川や田畑、 森林に囲まれた自然豊かな士地です。 大和町の持つ自然の力を感じるフィ ールドミュ ー ジアムは、 五感を通して、 本当の自分の感覚や人との差異を気付かせます。 そして五感を研ぎ澄ませることで、 疲れた心や身体を癒し、 心をも洗うことができるでしょう。
空間作法領域 笹原千愛 Tiaki Sasaharara
担当教員コメント
豊かな自然の中で生まれ育った作者が都会の生 活で抱いていた違和感の元は何であるのか、 その答えを「五感」という抽象的な概念で捉えながらも具体的な自然による空間表現へ繋げています。 さらにインスタレ ションによって鑑賞者を巻き込んだ展示全体で「五感」を体験させようという試みは、 この提案が単なる縮小された仮想の建築計画ではなく実現性を伴う ものであることを示し、 高く評価しました。 念密な地域調査によって発見された 「川の冷たさ」「土の匂い」「風の音」など、 土地が持つ自然の力を活かした「五感」を研ぎ澄ます 体験手法のアイデアは、 作者が育った環境の原風景から 生まれたもの と推察します。 都会 で暮らす者が「五感」を取り戻す、 このようなフィ ールドミュ ージアムが実現することを期待します。