刹那の青い栞


「刹那の魅力」をテーマに、日常生活の中で目にする景色や人物に対してふと感じる魅力を記録し、記録した映像からロトスコープという技法と2色の青のグラデーションを用いて感じた魅力を引き立てながら抽出したアニメーション作品。
日常生活の中でふと感じる「魅力」を、SNSにてタイムラインに流れてきたイラストや文の投稿に心惹かれて思わず「いいね」してしまうような「一瞬で消える衝動的な好きの感情」と捉え、それらから湧くイメージと共に描写した。
映像文学領域 犬塚 真結 INUDUKA MAYU
担当教員コメント
日々、われわれの目の前を膨大な情報が過ぎ去っていくが、われわれはその全てを把握できてはいない。事件や事故などの衝撃的な出来事は目や記憶に残りやすいが、本当は些細で日常的な生活が圧倒的な割合を占めている。作者は、まずそのような日常に目を向け、記録することから制作をスタートさせた。そしてくりかえし、くりかえしその映像を眺めることで、ややもするとすぐこぼれ落ちていってしまう人々の所作や景色を掬い上げた。その凝視の時間と完成した青を基調としたアニメーションは、図らずも運動によるサイアノタイプのようでもある。この作品は、ストーリーも無く、何も起こらない。だが、たくさんのことが起きている。作者の視線に乗りながら、ぜひ日常の秘密に触れてほしい。