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Carpe diem ~今を生きろ~

「Carpe Diem 今を生きろ」は前作の「Memento Mori 死を想え」と対になるインスタレーション作品である。 全ての人に健康的な笑顔で生きてほしいと考えている私の周りに、精神的な悩みを抱えている人が多く、その人たちの心情にポジティブな変化を促すきっかけを提供したいと考え、制作した。
  "死を想え"は死を考えることで生を意識し、生を大切にして生きていくことで生と死を考えるきっかけを提供することを目的にした。"今を生きろ"は今という時を大切にして生きていくことで、未来に希望を感じてもらうことを目的にした。
体験だけではなく切り絵キットの配布やアンケートを行うことで自らの人生を切り開く感覚や、体験を記憶すること、自分の感じた想いをその場で言語化と視覚化を行うことで他の来場者と考えを共有できるようにした。 この作品を体験した方々には光や影、今やこれからに希望を感じてほしい。そして、考え続けてほしい。 

空間作法領域  西村 奈津希 Nishimura Natsuki

担当教員コメント

 “Carpe Diem”は、従来のプロダクトデザイン分野では扱わない作品である。商品企画やビジネスモデル、素材研究や用途開発でもないが、モノや体験を通して人の気持ちに好意的な変化を与えるクリエーションという視点から、如何に新しいアプローチを試すことができるかが課題だった。それまでの分野に縛られない発想と、時間が掛かるプロセスを計画的に進め、少しでも理想の状態に辿り着こうと奮闘したプロセスを重視した。
テーマ、プロセス、クオリティーに加え、空間設計という視点/展示会場での実演による臨場感と、来場者の切り絵体験参加による相互的な展示方法/来場者からのフィードバックによる振り返りまでを考慮した研究計画など…空間作法領域らしい分野横断型のチャレンジングな取り組みを評価した。プロダクトデザインを学んだ学生が、敢えて手掛けた実験的な試みとして、このアートのような作品が観察者に何を伝えるのかを見てみたい。