海を纏う

「部屋は自分で作り出す空間である しかし、その個人的なものだと思っている部屋も、同じ一つの海を纏っていることを知る 泳ぐ時の鰭の揺らぎは周囲に響く 些細なことも伝わっていく 　　見えなくても存在している、影響を及ぼし合っている すべてを包み込む海を描く」

美術表現領域　　伊藤 瑠華　I t o R u k a

担当教員コメント

「美しい色彩と丁寧な描写で深く静かな世界を表現している作品である。描写されたモチーフは静かなリズムと流れをつくり、 鑑賞者の視点を動かしている。作家が語っているように、『些細なことも伝わっていく　見えなくても存在している、影響を 及ぼし合っている　すべてを包み込む海を描く』ことへのこだわりを作品として完成させている。何度も塗り重ねられた岩絵 具からは粒子のやさしい質感が伝わり、深海に広がる青の世界の中にも日常のモチーフが温かみの伝わる表情で描かれている。 作家自身の世界観を誠実に表現した作品である。」