作品紹介 | Media Design Exhibition 2020

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DIVERSE

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4年

  • 松澤 実玲

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作品解説

人はそれぞれ何かしらに対する「価値観」を持っている。
「価値」とは金銭に関わる相対的なものかもしれないし、個人の意見や記憶から見出される絶対的なものかもしれないし、またそれらとも限らない。
だが、生活していく上で「価値観」が必要不可欠であることに変わりはない。時間の使い方も食事も、人との付き合いも、全て価値の取捨選択が行われている。誤解を恐れず言えば「価値観」が人生を決める。

ならば、その「価値観」とはどのように形成されるのか。
私は、それを個人の生きてきた環境にあると考える。生まれてから一日一日を生きていくうちに見ず知らず少しずつ作られるのだと思う。根本となる自我こそ生まれつきのものであるのだろうが、両親の言いつけが、友達同士の幼い思い出が、自身の一部として価値を見出していく。そして「価値観」に完成形はなく、いずれも可変的で不変的、変わるかもしれないし変わらないかもしれない、なんとも曖昧なものだ。人は「価値観」と共に変わっていく。

となると、生活する環境が全て同じ人とは二人以上いる訳がないのだから、「価値観」全て丸々同じ人がいるとは考え難い。少なからず違いが出てくる。
故に、違った価値観が生まれてくることは当然だ。それらに正解はあるのか、間違いはあるのか。一概に肯定することも否定することもできない。それでいいのだと思う。「価値観」なんて曖昧でいい。自分の中の「価値観」も、他者と比べた「価値観」も、どこかに位置付ける必要なんてない。

むしろ「価値観」には柔軟性が必要だ。他者の意見について食わず嫌いをするのではなく、まずは一度受け入れてみて、納得こそできなくても「そういった価値観もある」と可能性を広げることが相互理解につながる。他者の意見を突っ撥ね自分自身の意見ばかりを押し付け、頑なに自分自身の「価値観」こそ正善だと主張する行動は、他者を知る機会を失い自身の「価値観」について改めて考え直すこともできない。主張しているだけで何も考えていないことと同義だ。
まずは、知ることが大切だ。知らない意見、「価値観」を知って、改めて自分の「価値観」について理解するのかもしれないし、考えが変わるのかもしれない。ただの固定観念にとらわれているだけの「価値観」ももしかしたら見つかるかもしれない。

人を十人十色と表すように、その数だけ「価値観」にも多様性がある。主観ばかりでなく、時には自分を客観視してみるだけでもかなり変わってくる。知るだけでいい、多くの価値観を知って、自分自身の選択肢を増やすことが平和な日常に繋がると考える。

本作品は、「価値観」の中でも誰しもが持ち得る「死生観」を題材としたシンプルなブラウザゲームである。ユーザーに簡単な操作と考察という手順を踏ませることで無意識的に「死生観」について思考を巡らせることが出来る。
複数のエンディングを通して「死生観」乃至「価値観」には多様性があることを伝えたい。

※現在一部ルート未実装
※PCにてプレイされることを想定しています。

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