作品紹介 | Media Design Exhibition 2020

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What's is she?

映像

3年

  • 伊藤 凪沙

動画

作品画像

  • 画像: What's is she?

作品解説

オリジナルキャラクターを使用したMVです、制作の目的は「キャラクターがもつ多面性について考える」ことです。
大手メディアや広告だけでなく、個人のSNSから一冊のノートにまでありとあらゆる所にキャラクターは存在しています。
この数多く存在するキャラクターの個性とはどこにあるのでしょうか。

人間は経験や関係の積み重ねで個性と自我が生まれ、一人の人として固定されていきます。それに対しキャラクターは人間が性格などを設定し、生きる世界や自我を固定します。
これを踏まえると理論上ではキャラクターの内面も含めた全てを人間が左右することができることになります。
しかしキャラクターが頭の中で自由に動くという作家や、作家の知らないところで派生キャラクターが生まれ、それが本編にも盛り込まれた、又は非公式ではあるがファンの間では共通認識として定着したという例も多く存在します。
個性がひとつにまとまっていく人間に対して、キャラクターの個性は常に固定されず同時かつ別々に存在していきます。人間の世界線はひとつですが、キャラクターの世界線は無限に存在するのです。
このような不安定で多様な個性のことを、「キャラクターという存在がもつ多面性」と解釈しMV制作の芯にしました。

今回は1曲の中に8アレンジ存在する曲を使用し、一人のキャラクターに8つの世界線を与えました。黒に白のメッシュ、目元のはっきりした女の子というビジュアルはひとつ。存在している少女は8人、どれが本当の彼女なのでしょうか?少し考えてみてください。

これが実際の俳優さんであれば、このMVの外にいる彼女が本当の彼女と呼べます。
しかしキャラクターに外はなくこの中で完結しています、彼女にとって本物とはなんなのでしょう。
一番初めの明るい彼女でしょうか?それとも二番目のように大人しい女性が他の彼女を演じているかもしれません。もしくは普段は学生をしているが俳優としてCMに出演している、またはロックバンドのボーカルをしているのかも知れません。
このMVから彼女一人の個性を読み取ろうとしても存在自体があやふやで正確には読み取れません。しかしそれぞれ別の世界に存在する同じ顔の彼女たちは確かにひとつのキャラクターだと認識できるのです。

個性を他者から解釈され、変えられ、もう一人の自分を生み出されるというのは人間社会ではありえません。もし私たちと同じように存在したときキャラクターたちは悲しんだり怒ったりするのでしょうか。