田原迫専任講師退官のお知らせ

今年度かぎり、今月いっぱいで私、田原迫 玄専任講師は退官することになりました。思えばこのブログを立ち上げて以来、私田原迫と、職員の内山さん、扇谷さん、上野くん教職員でなんとかブログ更新して参りました。5年任期で、プラス1年の計6年プロダクトデザインコースの常勤教官として勤めて参りましたが、ブログを見返してみると学生たちとの苦悩しながらも楽しかった想い出が思い返されます。そういえば6年前に、入学式がもう少し華やいでほしいなぁ〜と思ったので5年前に造形大学で一番高いビルA棟のガラス窓に研究室のコピー機でA3用紙126枚プリントアウトして貼った「名古屋造形大学 入学おめでとう」も恒例の行事になりました。思ったらすぐ行動!なので、6年間に悔い無し!あったら今からでもやりますw

1年生から4年生のプロダクトコース学生60人の担任であったわけですが、少しブログのリンクと共に振り返ってみましょう。

まず1年生の授業。入学したてでプロダクトデザインって何?マックってハンバーガーじゃなくて何??イラレ??レンダリング??と「?」がいっぱいな一年生。ヨチヨチ歩きなひよっ子デザイナーたち。PCの基礎や、スケッチの基礎、立体造形の基礎など、、、基礎!基礎!って感じのカリキュラム。ですが、僕のアプローチはあえて逆でした。というのも1年掛けて基礎ばかりで単調すぎると、まるでリフティングばかりさせられるサッカー部の一年生のように大事な基礎に身が入らないことがあるからです。PCデジタル基礎も、スケッチアナログ基礎も、あくまで手段であり、目的意識が無ければ身に付きません。そういうわけで、1年生でも自主的に目的に向かって邁進するモチベーションを持たせるように気をつけていました。具体的にはデザインコンペにも参加出来る環境を作りました。1年生でもアトリエの24時間使用体制、貸し出しコンピューター、ソフトの完備。また個々でのスケジューリング管理指導も行い、自分自身で目的意識を持って行動してもらうようにしました。僕の授業はPCデジタルリテラシーでしたので、1年から4年までのPCスキルを実践的に教えました。具体的には1から10まで1年間で教えるとしたら、一ヶ月4回単位で1から10まで教えるイメージです。そしてそれを反復して繰り返す。コンペの〆切期限をうまく活用して、出来る限り毎回プリントアウトして提出。このプリントアウトというデータで終わらせず必ずアウトプットすることも重要でした。また教官から学生への一方向のベクトルだけでなく、出来るようになった学生から学生への横方向のベクトルも活用しました。分からなくなって手をあげる学生がたくさんいると、その度に授業はストップしてしまいますが、たくさんのベクトルが行き交うようになると、自然と効率が上がりました。授業前には学生はPCを準備し、プロジェクターの前には扇状に学生たちが構えて、さらに仲の良い学生達同士でタッグを組むように近くに集まる。最も効率の良いコミュニケーションクラスターが出来上がってました。授業時間外でも、学生同士で教え合っていたり、集中して作業していたり、毎日PCを借りにくる1年生を見ると嬉しかったものです。結果として、1年生でもLGモバイルデザインコンペで銀賞(立石雅英)、銅賞(福田智文)ダブル受賞したり、夏休みまでにはイラストレーターを用いた立体レンダリング、フォトショップによる画像加工技術は十分なレベルに出来たと思います。またアナログのデッサンからマーカースケッチ、アイデアスケッチの授業も1年生ではあります。高齢者向け自動車のデザインコンペで受賞した一年生もいましたが、1年生ではアナログとデジタル双方向でスキルアップさせていました。また、大草バンブーインスタレーション、穴窯体験、八滝ウッディランド研修台湾OIT大学交流沖縄研修などの実習、研修を通し、クラス内学生間連携も高めました。(デジタル基礎、アナログ基礎、素材体験、造形基礎

二年生では、進級してすぐにSTUDY展。初めての展覧会!モノを展示するという難しさを体感します。また、STUDY展のパネルもですが、ある程度2Dデジタルスキル、アナログスキルは出来るようになってましたので、3Dのライノセラス、SHADEを2年次から始めました。2年、3年と二年間の3Dカリキュラムで充実したデジタルレンダリング習得プログラムになったと思います。また、僕の授業では内容的には全体的なデザインプロセス含めて教えつつ、スキルアップとしては今まで学んだデジタルとアナログをミックスしてレベルアップさせるようにしていました。具体的には、アイデア発想トレーニングや、デザイン方法論、リサーチや様々な分析、解析。もちろん一気にはいけませんので、少しづつ。どうしてもパッと思いついたことを結果としてのカタチにしてしまいがちなので、周囲を見渡してスケッチさせるように入念に、そしてその裏側にある世界を見つけられるように鍛えるイメージでした。行動分析などは学生たちも非常に興味を持ってやってくれたように思います。普段気付かない何気ない行動が見えるようになると嬉しいものです。リサーチもやりっ放しなことが多いので、しっかり分析して、客観的に評価することに気を付けてもらいました。自分よがりでなく、ユーザー中心のデザインへ。また、名古屋造形大学特有のものづくり工房の資産を生かして、クラフトマンシップ溢れるカリキュラムも取り入れました。木工や陶芸といった素材体験も大切です。また、非常勤の先生方にIBM Thinkpadのデザイナーや、シャープ、パナソニック、三菱自動車、トヨタ自動車などインハウスデザイナーとして活躍された方々を招聘し、それぞれの授業の中で、プロセスに富んだポートフォリオ作成が出来る体制になりました。また、産学協同も早くも経験出来るようにしました。産学協同は当コースでは3つのスタイルに別れます。1つは授業プログラムに組み込むスタイル。この場合はタームの前に企業との話し合いで内容を決め行います。2つ目はコンペスタイル。これは学年問わず、全学年、場合によっては他コースや他大学とも連携をとります。3つ目は研究室で対応するスタイル。これは企業からのデッドラインが近すぎる場合や、難易度によって、研究室の教職員と選抜した学生で行うスタイルです。昨年度は2年生は1つ目の授業カリキュラムの中でNOYES様とのソファデザインを二年生も行いました。また枡のプロジェクトなど地場産業との産学共同ヤマギワ株式会社様との照明デザインも授業で行いました。また、2つ目の産学協同スタイルで原田車両設計様との積層造形コンペも二年生も参加し、受賞しました。(日経デザイン4月号にて掲載予定)NOYES様との産学協同では、工場見学などもさせて頂き、素材から製品ラインまでの理解と、商品のデザイン提案まで貴重な経験になったと思います。原田車両設計様との産学協同では丁度学び始めたSHADEやライノセラスのスキルを実践出来る機会であり、これも二年生のモチベーションアップに繋がりました。(3Dデジタル、デザイン方法論、調査分析、素材体験、産学協同、STUDY展)

3年生では、まずは二年生と同じくSTUDY展。そして早くも春から企業インターンシップの募集が始めるということもあり、企業実習での即戦力を高めるカリキュラム体制。特に二年生で始めたデジタル、アナログをミックスした表現力の向上。具体的にはHONDAスケッチワークショップ三菱自動車スケッチ講習会などのように、実践的な手書きレンダリングとフォトショップ加工、それに3Dのライノ、SHADEを含め、総合的に表現力を高めました。授業内でも、プロセスはもちろん、よりプレゼンテーションに重きを置いたプログラムにしました。とにかく、プレゼンテーションをさせました。シャチハタ様との産学協同などでも、中間発表で商品企画部長自ら御講評頂く中でプレゼンしたり、最終発表まで多くのプレゼン体験しながらの授業でした。また二年生と合同のNOYES様、ヤマギワ株式会社様、原田車両設計様との産学協同。トヨタ自動車クレイモデラーの非常勤講師の方を招聘し、クレイモデリング実習で立体造形力も鍛えます。夏休みは本格的に企業実習、ワークショップが始まり、ポートフォリオもほぼ完成した状態にもっていきました。またOBの方々にも来て頂き、企業説明会を学内で催しました。1、2年で造形大学ならではの自由な造形体験を生かして個性を伸ばし、3年生で企業体験を実践的に体感することで、社会に適応出来る強い個性に仕上げたいと思っておりました。(3Dデジタル、プレゼンテーション、素材体験、産学協同、STUDY展)

4年生では、前半は就職活動が佳境です。正直なところ、早めに就活を始めた学生ほど、卒制に身が入ります。このことは、就活と卒制、皆さん別々に考えますが、実は大きく関係があるんだと思います。つまり、社会体験、就活などを通して、マーケット、企業、商品ラインナップ、ニーズ、グローバリズム、、、様々な卒制の為のバックグラウンド調査とも言えるわけです。そして、卒制も実は同じところを目指す作品が多い。自分の個性が社会でどう生き抜いて行くのか、それの表現方法として卒制を行う学生が大半です。なので、前半は就活メインでカリキュラムも卒業制作ではありますが、ポートフォリオ指導など、就活メンテナンスも行いました。そして、5月のコンセプトイメージ展では卒業制作の背景、コンセプト、アイデアはもちろん、簡易モックアップ展示を行いました。6年やってきて、コンセプトイメージ展と最終卒業展示、全体的に6〜7割、ほぼコンセプトが変わることはありませんでした。つまり、5月に考えたことがそのままカタチになっていました。頭の中では、いろいろと考えたいと思っていても、なかなか思うように進まないのが卒制です。そんなわけで、コンセプトイメージ展ではモックアップとして具体的にカタチにする。いったん考え尽くしてカタチにアウトプットすると、いろんなことが見えてきます。時に浅はかなものであったり、すでにあるものであったり、、、何より、これを完成して展示したらどうなるか?見えると次のステップに行き易い。評価する講師陣も、厳しい意見をこの時期に伝えることで、じっくり対応出来ると思いました。と、書いてましたが、もう卒制のバイブルとも言うべき?分かり易いエントリーがありました。昨年度卒業した立石雅英くんが書いてくれた卒制エントリー。紆余曲折が良く分かります。10月に中間審査を行い、大体の完成形が見えてきます。ここから大きく変わることは9割なかったですね。芸術祭が終わると作製も佳境に。そして年明け1月には写真撮影。作品集は一生残りますので、作品集は全員データ提出にして、個々のページは自由に編集させるようにしました。そうすることで、今までは作品名と作品写真だけで、下手をすると何なのか分からなかったのが、今では作品内容が良く分かるようになったと思います。そして2月に卒業制作展。(卒業制作)

以上、1年生から4年生の授業の回想でした。

思えば、長いようで短かった6年でした。コース代表としてコースの運営を任されてやってきました。ともすると自分が造ってきたと勘違いしがちですが、、、ちがいます! いままで幾多の素晴らしい卒業生を輩出してきた造形大学の歴任の先生方、素晴らしい非常勤講師の皆さん、優秀な職員の皆さんのおかげですから、来年度の新入生の皆さんご安心ください。また、次に来られる専任の先生もいらっしゃいます。そういった割と見える部分もですが、見えない部分、愛知県はもちろん、全国の学生への教育を本気で応援してくださる数多くの企業、ものづくりに携わる方々、地場産業、そういった環境から受けた恩恵が一番大きいと思います。そういった周囲の環境に恵まれ、学生も教員も入れ替わり、名古屋造形プロダクトはこれから大きく新しく変わっていくことでしょう。入学される新入生の皆さん、年季の入った学び舎の中に、道具の中に、そういったいろいろな人や環境の念いがありますから是非探して感じてみてください。教授と書きますけど(僕は講師!)むしろ享受という感じで、6年間与えたことより、僕自身バンパイアのように学生の皆さんから享受出来たことがほとんどです。本当にありがとうございました。  田原迫 玄