5月というのに蒸し暑い。
今日も自宅で仕事。
午後は少し音楽を聴いた。
何となくライブものを聴きたかったので、チェリビダッケが1986年にサントリーホールのこけら落としで行ったミュンヘンフィルとのブルックナーの交響曲第5番。
空間を感じさせる好録音。そして、あらためて日本の聴衆は静かだな〜!と感心。
演奏は磨きに磨かれたチェリビダッケの世界。細部まで緊張感が行き渡っているので、こちらも集中が強いられる、決して「ながら」では聴けない演奏だ。
チェリビダッケは「録音嫌い」で有名で、レコードやCDを作るための録音は実は初期の頃の僅かなものしか無い。ただ、放送用の録音は結構あり、それがチェリビダッケの没後、遺族の許可によって日の目を見ることになったのだ。
このサントリーホールでのブルックナーは、実は当時のFM東京が急遽チェリビダッケに放送録音を打診し、コンサート当日にOKが出たのだが、開演5分前になって再びダメということになったものだ。それなのになぜ録音が残っているかというと、録音担当者の「故意の過失」による。つまり、自己判断で録音テープを回し続けたのだ。そして、音楽事務所に秘蔵すること20年、遺族の許可でCD化されたというわけだ。
これって大丈夫なの?? と思ってしまうが、結果的には貴重な芸術的遺産として我々の心を豊かにし、視野を広げてくれることになっている。
チェリビダッケのことは今までもこのブログで何度か触れているが、2013年4月20日のブログに書いてあるように、やはり(これはあらゆる音楽に言えることだと思うが)幾ら高級なオーディオ装置で聴いても、その場で聴く音楽と再生されたものでは全く違う。そこに入っている情報量は(感覚としては)実演の数%程度しかないように思われる。特にチェリビダッケのように、その時その空間での最も美しい響きを徹底的に求める音楽家にとっては、より一層差は大きいものになるだろう。
再生された音楽を聴いて、チェリビダッケの実演のすごさを想像しているのも皮肉なことだが、返す返すも実演に触れることが出来なかったことが悔やまれる。
さて、久々に「ながら」ではなく、じっくりと音楽を聴いたあと、午後からはちょっとだけ大学に行った。明日必要なものを取りに行ったのだが、玄関近くのサツキがどんどん咲き始めている。