12月10日 午後・アトリエD305 たかひこん@デジタルメディアデザインコース
1年生映像基礎の実習授業担当の河村先生のご紹介で、山口情報芸術センター(YCAM)の三原聡一郎さんと、デザイナーの小原亘さんによる「TECHTILE」(テクタイル)ワークショップを行っていただきました。
「TECHTILE」は触感を意識した価値づくりを目指す活動として各地でワークショップを開催されていて、今回は1年生と2年生を合同授業に変更しTECHTILEによる触感ワークショップを体験してもらいました。1年生2年生合同って事で総勢50名以上の参加とあって、アトリエはもう熱気と学生達でいっぱいっぱい(笑)
まず導入として山口情報芸術センター(YCAM)の紹介と「TECHTILE」の説明、それから触覚など感覚についてと触感についてのプレゼンテーションが三原さんによって行われました。途中デザイナーの小原さんがグラフィックデザインを行ううえで紙の質量や質感がコンテンツに大きな影響を与える、単に表層のデザインだけでなく、物を触るという触感などの感覚まで意識しツールやメディアを選択しているという話をされていて、なかなか興味深いプレゼンテーションでした。
後半は実際に「TECHTILE」の活動で開発されたデバイスを利用して、触感をテクノロジーによって別の物に転送し、その感覚の相違や錯覚を試しながら、どのような触感の応用や活用が出来るのか?を各グループで検証しました。デバイスの構造は結構シンプルで、簡単にいうと入力側がマイクで振動を電気に変換し、アンプで増幅された振動の信号がもう一報のスピーカーで再現され触感(振動)として伝わるという物です、マスター側(つまりマイク側)に何らかの振動を入力するとスレーブ側(つまりスピーカー側)がそれと同じ振動を起こします。
構造は単純なのですが、様々な物の組み合わせで「触感」を意識した入力と出力を創作する事で意外な錯覚が産まれます、例えばマスター側ですり鉢に入ったBB弾をゆらして振動をおこし、スレーブ側の紙袋にその振動を伝え、マスター側のすり鉢と同じ動きで紙袋を左右に動かすとまるで紙袋の中にBB弾が入っていて中で移動しているような感覚が得られます、実際は紙袋の中は空なのですが錯覚するほどリアルに感じたのにはちょっと驚きました。
短い時間でしたが、デバイスやインターフェース開発、さらにデザインやアート作品を制作するうえで、表層だけじゃなく人の感覚や触感、それに錯覚などをうまく応用する事で、より使いやすいデザインや、より表現に重みをもたせる事が出来る事が学生達に分かってもらえたのではないかと思います。三原さん、小原さん、それにお手伝いくださったNODEの皆さんありがとうございました。
*テクタイル / TECHTILEは、先端技術を基盤として触感を意識した価値づくりを目指す活動です。 人間の受ける触にまつわる印象も含めた「触感」という視点を基に、アート、デザイン、科学、工学など多様な分野に携わる人々が同じテーブルに集い、発展的な議論・創作を行う場を提供することを目的としています。私たちは2007年から展覧会という形で触感表現に関して先端技術から身近な活動まで多角的に紹介し、分野や人のつながりを作ってきました。( TECHTILE公式ページより抜粋)http://www.techtile.org/