医療福祉アートプロジェクト

「他者の身体が主役のアート」―医療福祉と芸術の融合―

他(ひと)の痛みを自分のことのように感じる―。誰しも自らの内に、何万年もかけて培った「共感するしくみが備わっている、との説があります。やさしい美術プロジェクトの原点はそこにあるのかもしれません。ホスピタルの語源は治療とは無縁の「もてなす」こと。「病院」とは人生の旅人が集う場所であり、そこでどのように過ごすのかは、とても大切なテーマなのです。

医療福祉アートプロジェクト(やさしい美術プロジェクト)の活動の舞台は「いのち」と深く関わる医療福祉の現場。そこで感じたことをもとに、自らできることを考え、提案し、実現してゆきます。日々の暮らしのなかで欠かすことのできない領域で美術・デザインに取り組みます。

緩和ケア病棟デイルーム ガラス窓ドローイング

リビングにあたるオープンスペース。幅15mのガラス窓が内と外を隔てる印象を感じさせる。

▶美術・デザインの様々な専門性を持ったメンバー10名で制作。アイデア出しから現地制作まですべてメンバーのみで実施した。
▶細部の緻密な図柄と全体の色面を構成。利用者の状況や、感じ方を意識して制作。

作品 古川陽介さん(日本画コース)

展示場所:内科処置室
利用者は点滴の間天井を見続け、天窓からの日差しが避けがたく照りつける。

日差しを適度に透過し、なおかつ落ちついた心持ちで鑑賞できる絵画を制作。
四季折々作品を展示替えした。

 

共同(共働)制作 老人福祉センター ぬくもりの里

老人福祉施設を地域の大切な場所にしていく。

そこに行くきっかけがあり、誰もが入っていける空間をめざして。
「老い」をオープンにしていくワークショップを実施。

 

ワークショップ 発達センター ちよだ

地域の障害を持った子どもたちが通園する施設にてワークショップを実施。
子どもたちが新しい遊びを編み出し、人との関わりが紡がれていくものをめざした。

ちぎったり、固めたり、ほぐしたりとあらゆる感触の素材に触れ、いっしょに試みるうちに働きかけの連鎖が膨らんでいった。

 

受賞

2012
愛知県芸術文化選奨文化新人賞
とよしん育英財団教育文化奨励賞

2013
グッドデザイン賞

特徴

・全学(全コース)、全学年(大学院含む)に開かれたプロジェクト。
・課題が与えられることはありません。ひとりひとりが現場で課題を見つけ、解決の道筋をつくります。
・それぞれの得意なことや専門性を活かし、協働してプロジェクトを運営します。
・年間を通して医療福祉施設を訪れ、交流を深めます。定期的に「研究会」を開き、作品やワークショップ、イベントなどを提案したり、共同で開発することも。