造形芸術研究センター所蔵・石井コレクション  


伊勢型紙『海の幸』

伊勢型紙『十二支』
 明治24年(1891)、石井鎌吉氏は、名古屋に染物業「石井染工所」を創業しました。以来、石井染工所は、大正モダニズムの時代から戦前・戦後を通じ、百余年にわたって名古屋における染物業界の老舗の地位を保ち続け、キモノファッションを支えてきました。この間、石井染工所には厖大な量の染色型紙が蓄積されましたが、近年の呉服業界の衰退と共に染色型紙はその役目を終え、着物染色からアパレルデザインへと移行した染工所の倉庫に眠っていました。

 本学の研究グループは、柿渋研究から伊勢型紙の調査へと歩を進める過程で、名古屋造形芸術短期大学教授・鵜飼昭平氏の父である、染色家、故・鵜飼 菁氏と石井染工所との旧縁によりこの貴重な型紙と出会い、平成3年(1991)には、石井染工所社長(五代目当主)石井達夫氏のご厚意により、これらの型紙を研究資料として寄贈戴くことになりました。

 本学では、2000年度の造形芸術研究センター設立に際して「伊勢型紙資料室」を整備し、この貴重な資料を「石井コレクション」と命名して、紋様・デザイン・工芸・地域経済史・文化史等、様々な面からの研究に資するべく、分類・整理・保存にあたっています。

 ここでは、膨大な型紙コレクションの中から、春夏秋冬、四季に因んだ紋様をご覧戴きます。

伊勢型紙『花と蝶』

伊勢型紙『秋の庭』