2017年度 名古屋造形大学 入学試験要項
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276-5気を切って飛んでいった。そして遠いはるかな地点に着地し、自らの印を大地に刻んだ。青年たちは誰一人、自らの肉体がどれほどの美を表現しているか、気づいてもいなかった。 槍が二メートル六十センチあること、スパイクの形が左右違うこと。それらは大して役に立たない情報かもしれない。しかし、そCれらを知った私は、知らなかった私とは明らかに違っている。 この世界には、楕だえん円形にぽっかり切り取られた空間があって、そこでは一人の青年が黙々と槍を投げている。あるいは、どこかの狭苦しいテーブルで、少年がチェスの駒を動かしている。一度記憶に刻まれたこれらの風景は、決して消え去ることはない。 探D索から戻った私は、もはやプランが立たないなどと言って不安がったりはしない。記憶に残る風景をありのままに書き写せば、それがつまりは小説なのだと知っているからだ。(小川洋子『とにかく散歩いたしましょう』による)問一 傍線⒜「メイカイ」、⒝「バンジョウ」、⒞「キセキ」、⒟「レイギ」、⒠「キセイ」、を漢字に直しなさい。問二 波線部「決して消え去ることはない。」の「ない」について、文法的用法として同一のものを次の中から一つ選び、   番号で答えよ。  1 見当もつかない点  2 プランが立たないのだ。  3 思い込んでいるだけかもしれない  4 ルールさえ知らないのに、  5 さえぎるものの何もない空間問三 傍線A「その何か」について、筆者のいう「その何か」とはどのようなことなのか。左の中から最も適当なもの   を一つ選び、番号で答えなさい。  1 関西学院大学の槍投げの選手を見たことがあったこと。  2 槍が使い勝手の良い言葉としてぴったりだったこと。  3 私の頭で立派なテーマを考えてから題材を探していたこと。  4 自分でも予想していないのに槍が飛んできたこと。  5 チェスのことを前に書いた時、駒に槍が浮かんでいたこと。問四 傍線B「日常生活とは全く違う種類の風景」について、筆者のいう「風景」とは何か。簡明に答えなさい。問五 傍線C「それら」について筆者のいう「それら」とは何を指しているか。本文中より十五文字以内で二ヶ所抜き   出して答えなさい。6-6問六 傍線D「探索から戻った私は、もはやプランが立たないなどと言って不安がったりはしない。」について、筆   者にとって、何がプランの立たない不安だったのか。左の中から最も適当なものを一つ選び、番号で答えなさい。  1 槍投げの選手に話を聞けるかどうか。  2 槍投げが題材になるかどうか。  3 槍投げは楽しいのかどうか。  4 槍投げを体験しなければならないかどうか。  5 槍投げを実際に見ることができるかどうか。   次の日本の近代文学作家に大きな影響を与えた外国文学作家は誰か。後の外国文学作家の中からそれぞれ一人   ずつ選び、番号で答えなさい(番号は重複できない)。  ⒜ 高山樗牛   ⒝ 島崎藤村   ⒞ 坪内逍遥  ⒟ 二葉亭四迷  ⒠ 武者小路実篤    ⒡ 堀辰雄    ⒢ 国木田独歩  ⒣ 石川啄木  ⒤ 永井荷風   ⒥ 森鴎外   [外国文学作家]  1 ゴーリキー    2 トルストイ   3 ゾラ      4 ゲーテ     5 ジイド    6 シェイクスピア  7 ツルゲーネフ  8 フローベール  9 ワーズワース  10 ニーチェ三

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