散歩の楽しみの一つに「空き地ウオッチング」がある。散歩ルートに筒井町があって、筒井町は区画整理の最中、あちこちに空き地が生まれている。放っておかれた土地は、植物の天国で、勝手に生態系を繰り広げている。その植物の謳歌状態が好きである。彼らは気持ちよさそうに互いの縄張りを競いながらその勢力を拡大している。虫が来て、鳥がきて、小動物がやって来て、どんどん生態系は、逞しくなって行く。

昔、都会には原っぱという空き地があって、子供たちは遊び放題であった。残念なことに今は柵で囲まれ進入禁止。「事故等、責任は負えません。」と丁寧な注意看板。昔は子供たちも小動物で、生態系の一環をなしていた。
★ BOOK IMPRESSION 17
李禹煥「余白の芸術」みすず書房

李禹煥(リ・ウファン)は、1936年韓国生まれ。ソウル大学校美術大学を中退後来日、日本大学文学部卒業。現代美術作家でいわゆるモノ派と呼ばれる代表的作家。私にとっては、NHK新日曜美術館で特集を観て、横浜美術館で開催された「李禹煥 余白の芸術」展観覧以来、最も好きな作家の一人である。
多様な角度から芸術、文化を語っている。「ウーンそうだ」と大納得させられた現代美術のバイブルのような一冊である。紹介したい多々ある内容から少し「・・・ただ空いている空間を余白とは感じない。そこには何かのリアリティが欠けているからだ。例えば、太鼓を打てば、周りの空間に響きわたる。太鼓を含めてこのバイブレーションの空間を余白という。・・・フレームのないタブローは、壁とも関係を保ち、絵画性の余韻は周りの空間に広がる・・・」
「解るがより身体的感覚であり、知るがより意志的な意識である・・・解ると知るは別のものでありコードも違うが、それが合わさって高次のハーモニーを作っているところに人間の素晴らしさがある。」
「ときとして、コンピュータの絵画は聡明で美しい。しかししこには画家の生々しい営為が欠けている。それゆえ矛盾の充ちた命の輝きをそこから感じ取ることは不可能である。血の通った人間には、邪悪な欲望の眼(絵画)がふさわしい。」
「彫刻は閉ざされた固まりであるのではなく、それによって時空が一層生き生きと透かされる開かれた構造であることが望ましい。」
悶々と創作に悩み続ける若い作家達には、ぜひ読んで欲しい本である。