● 11月5日(木)薄曇り。
午前中、オフィス(高北デザイン研究所)で仕事。
午後の新幹線で東京へ。2週続けての東京出張は、学長になって初めて。
午後3時30分、渋谷のBunkamura Galleryで「井上直久『イバラード —輝く街のつくりかた』」を観る。井上さんは、架空都市イバラードを造り上げ、ロマン溢れる絵を描き続けている。スタジオジブリの映画での競演でも多くの仕事を発表、著名である。絵本の人気も高い。この度は、描法も見せて興味深い展覧会となっている。

4時10分、青山の新根津美術館を訪問。根津美術館は、南青山の瀟洒な美術館として人気だったが、この度全館再建し美しい雄姿となっている。名前も新根津美術館と変更している。

新創記念特別展「第1部 新・根津美術館展 国宝那智瀧図と自然の造形」では、国宝那智瀧図のほかに重要文化財、重要美術品28点はじめ百数十点が出品されていて、さすがのコレクションだ。外国人の来館者も多く根津美術館人気のすごさを見た。



都会の中とは思えない深い庭を巡って美術館を出る。
5時、近くまで来たので久しぶりに岡本太郎記念館に立ち寄る。ここの庭に置かれている「座ることを拒否する椅子」は、岡本作品の中で最も好きな作品である。

5時30分、GREEN COLLECTIONSに寄る。ギャラリーであり、空間演出の提案も行っている。

青山を歩くのは楽しい。斬新なブティックの建築、ディスプレイ、楽しい雑貨屋やシャレたオフィス。眼の保養ができる。プラダのビルの存在感には、圧倒される。

6時、スペースユイで「高木壽夫展・・・Human & Pop・・・」を観る。ファッション系のイラストレーションで、それでいて親しみの持たせるやさしい絵である。

夜7時、新宿の新国立劇場でコンテンポラリーダンス公演「Life Casting—型取られる生命—」を観る。構成・振付・出演、平山素子。

平山さんは、日本を代表するコンテンポラリーダンサー、振付家、筑波大学大学院准教授。99年世界バレエ&モダンダンスコンクールにて金賞とニジンスキー賞受賞。01年文化庁在学研修員としてベルギーへ留学。近年は振付家としても活躍。06年ボリショイバレエ団にてザハロワに振付。07年新国立劇場『Life Casting』で朝日舞台芸術賞、キリンダンスサポート受賞。08年シンクロ日本代表北京オリンピックデュエットの振付担当などその活動は多岐に渡る。昨年名古屋造形大学でのスーパーレクチャーに講師としてお呼びして以来、親しくさせていただいている。
2部構成で1部は「un/sleepless」男女7人の若いダンサーたちの躍動、また静止、出現と消失、緊張と弛緩、光と影あるいは闇、スピードとスローモーション、略奪と逃亡、コンテンポラリーダンスの魅力をたっぷりと見せてくれた。
2部は、平山素子ソロ「Twin Rain」。しかし、ステージを対角線に遮断する大壁面がスケールの大きい空間を造り出し、樹脂で造られたもう1人のダンサー(平山素子?)がいる。このもう1人と共存、あるいは共鳴、また嫉妬するようにダンスが繰り広げられていく。
永い静止から少しずつ生命を得て、血を通わせるようにゆっくりと動き始める。やがて、激しい音に乗るように身体は狂うように舞う。突然2つの壁は裂かれるように隙間を造り出す。逆光線の中で、隙間に見入られるように誘い込まれていく、戻り、消え、戻る。そして消え静寂が訪れる。
永く短い時間が過ぎた、突然壁が破れ、羊水とともにダンサーは誕生、再生する。
身体の躍動美を核として、ダンス、美術、音楽、照明、衣装・・・多くの創造が1つになって造り出す芸術。デザイナーとして嫉妬を憶えつつ、感動で幸せな夜だった。東京泊。